バザール型医療情報サービスへ

bazaar

TOBYOプロジェクトでは今、DFC(Direct From Consumer)商品の試作品製作に着手している。いろいろ検討したが、当面、統合失調症関連のいくつかの医薬品についてDFCレポート試作品を作る予定だ。今後アイテムを増やしていき、最終的に有料サービス「DFCライブラリー」にまとめ上げる予定。まず医薬品から患者体験によって可視化していくが、今後、医療機関、医療機器、治療法、検査法などへ展開していく予定。

さて、これらDFCとDTCによる事業化のほかに、もうひとつどうしても実現したいことがある。それは「バザール型サービス」である。このブログではこれまでたびたび「伽藍とバザール」というテーマでエントリを書いてきたが、これは言うまでもなくエリック・レイモンドによるオープンソースのソフト開発についての同名の論文 、そして2007年に開催された第一回Health2.0カンファランスにおけるスコット・シュリーブのスピーチに触発されたものである。

「近代医療が持つ『伽藍上から垂直に見下ろす』ような視線を、参加原理に基づくバザール的な共同と共有の相互視線へと、情報革命の成果をもって変えてしまうこと。これがHealth2.0なのだ。」(「伽藍とバザール」

二年前の秋にこのように記したのだが、その後も「バザール」に強く惹かれその実現可能性をずっと考えていた。TOBYOプロジェクトと「DFC&DTC」はそのための基礎とはなるだろうが、いずれにせよ「その次」へ向けて進まなければならない。幸いにしてそのためのアイデアは、ここへ来てかなり明確になりつつある。これまでの「カテドラル(伽藍)」思考に基づく医療情報サービスと対極にある「バザール型医療情報サービス」を近いうちに発表できるだろう。これによって、たとえば闘病体験情報を闘病者自身がマネタイズできるようになると思う。

従来、医療に関するものすべては「カテドラル(伽藍)思考」によって作られてきたのであり、日本の医療ウェブサービスが停滞している最大の原因もそこにあると思う。そのような「制度化した思考」を解体しなければ、本当に医療を実践的に消費者・闘病者のものにすることはできないのだ。

「バザール型の医療情報サービス」へ向け、TOBYOプロジェクトは進んでいく。

「バザールでござーる!」。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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