TOBYOプロジェクトとコミュニティ

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TOBYOプロジェクトは三年目に入ったが、紆余曲折を経てようやく基礎工事が終わったということだと思う。収録サイト2万件というサイズが、事業を進める上での最低ラインであることもここへきて良くわかる。この「2万」という数字自体は、インターネットのスケール感から見てむしろ小さい数字だ。それでもTOBYOプロジェクトの事業化にとっては十分に土台となる。

これまでいろいろな人からいろいろな助言や忠告を受けた。その中で「なぜコミュニケーション機能がないのか」あるいは「なぜコミュニティを持たないのか」という声は常に聞こえてきた。もちろんこの二年間に、そのような機能拡張を考えたことがなかったわけではない。だが、できるかぎりシンプルなツールであることの方が、結局、中途半端な多角化に優るとの確信があった。もちろんリソースの問題もあるが、中途半端なコミュニティは必ず失敗することを私たちは過去の経験で学んできたのである。

TOBYOプロジェクトは内部に囲い込むコミュニティを持たず、むしろネット上に分散して存在する知識と体験の集合体「闘病ユニバース」というオープン・コミュニティのインフラ・ツールであることを選んだのだ。私たちが小賢しい意図を持って企む閉鎖的なコミュニティよりも、自発性の原理に基づく自然発生的なコミュニティのほうがはるかに多様性があり、柔軟で、豊かなコンテンツ生産力をもっている。TOBYOはシンプルなツールとして機能すればよい。なにもあえて自分でコミュニティを持つ必要はない。最も巨大な闘病者コミュニティは、すでに目の前に存在し活動しているのだから。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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