TOBYOプロジェクトは現在、DTC(Direct to Consumer)とDFC(Direct from Consumer)の二方向で商品化を進めているが、DFC先行で商品イメージを固めつつある。先日エントリでも少しふれたが、DFC商品概念を思いっきり単純化すれば以下のような式になる。
(データ) × (ソリューション) = (DFC商品)
つまり「データ」を一定とすると、「ソリューション」の深さと幅によってDFC商品はいくつかのバリエーションを持つ。当面はそれを二つに限定して整理しておきたい。
A. ジェネラル・ソリューション対応: DFCレポート→DFCライブラリーB. カスタム・ソリューション対応: 個別レポート
「A.ジェネラル・ソリューション対応」は医療関連業界の汎用的なデータニーズに対応するもので、医療関連領域の個々の「固有名詞(製品名)」に対し、対応する患者体験を集約していくことになる。たとえば医薬品をとってみると、個々の薬品名ひとつひとつについて、それらを実際に体験したユーザーの体験レポートを作成するようなイメージを描いている。当面は慢性疾患(高血圧、高脂血症、糖尿病)医薬品、抗がん剤、抗うつ剤等から100品目程度選び出し、それぞれ個別の患者体験レポート(DFCレポート)を作成していくことになるだろう。このような「DFCレポート」は特化型問題解決を担うものというよりは、むしろ「問題発見」や「仮説構築」にかかわる「ファクト・ファインディング・ツール」という性格を持ち、各製品や個別課題について患者が体験した事実から「気づき」を促すものになるだろう。また薬品名のみならず、「DFCレポート」が扱う医療分野の固有名詞カテゴリーだが、今の時点で、おおよそ以下のように考えている。
- 医薬品
- 医療機器、保険商品
- 医療機関
- 治療法、検査法
おそらく上記カテゴリーの1、2あたりから優先的に着手していくことになるだろう。さらに医療現場を可視化するためには3、4は必須である。医療機関名を明示しない闘病ドキュメントも多いのだが、現在TOBYOが保有しているデータを調べてみると、各地区拠点病院についてはかなり情報が集まっている。できるところから「DFC医療評価レポート」に着手したい。そして最終的には、以上のようなカテゴリーのDFCレポート群からなる「DFCライブラリー」(仮称)の構築を目指したい。医療の各分野を患者体験から可視化する日本初のテーマ別患者体験ライブラリーとして、医療界、医療関連業界、官庁、研究機関などで幅広く活用していただきたい。
一方「B.カスタム・ソリューション対応」だが、これはエキスパート集団(リサーチャー、コンサルタント、マーケター等)のアドホックな用途に応える形で患者体験情報を提供することになると考えている。
三宅 啓 INITIATIVE INC.