汎用検索エンジンで医療情報を検索する場合困るのは、検索結果につきまとう大量のゴミやスパムである。またヒット件数が多すぎて、いったいどれを参照すればよいか迷うこともしばしばである。一般の生活者・患者にとっては、どれが信頼できる情報なのかを判断することが容易ではないのだ。そこで、信頼できるサイトだけに検索範囲を限定するバーティカル検索エンジンが求められるわけだ。
Healthline、Healiaなど医療情報バーティカル検索エンジンは既にいくつか登場しているが、その利用はまだまだ一般的ではないようだ。しかし、今後、ウェブ医療情報サービスにおけるその役割は、さらに重要になっていくものと思われる。より使いやすく、わかりやすく、信頼できるような仕組みをどう開発していくかが課題である。
だが一方、「ソーシャル・サーチ」という新しい潮流が、医療情報分野にも現れ始めていることに注目すべきだろう。その一端を担うのが「Google CSE(Custom Search Engine)」であり、これは誰でも簡単にバーティカル検索エンジンを作ることができるツールである。そして最近、このGoogleCSEを利用したさまざまな医療情報検索エンジンが、ユーザーの手で作られ登場している。
760以上の糖尿病関連サイトの検索エンジン。ここでは糖尿病関連のの研究、技術、治療、310のブログサイト、関連団体などが検索対象になっている。
女性の健康と医療に関する検索エンジン。検索対象サイトは4776サイト。
●Consumer Health Resources In Spanish
スペイン語の医療情報サイトの検索エンジン。22サイトが検索対象。
小児科特化型検索エンジン。小児科に関連する信頼できる35サイトが検索対象に選ばれている。
●Evidence-based Medicine Search Engine for Healthcare
EBM特化型で医療プロフェッショナル向けの検索エンジン。251サイトが検索対象。
医療関連ウェブサイトの品質認証団体であるHON(Health On the Net Foundation)が主催。1988の認証サイトを対象にした検索エンジン。
医療生涯教育のための検索エンジン。684サイトが対象。
2.0の特徴の一つが、ユーザー生成コンテンツであることは改めて言うまでもないが、これから「ユーザー生成サーチエンジン」が面白くなりそうである。アイデア次第で、従来にない医療情報提供サービスがどんどん登場してくるかもしれない。
三宅 啓 INITIATIVE INC.