メデュテインメント:医療教育ゲーム

fooddetective

米国では子供の肥満と糖尿病が増加し社会問題化しているが、大手医療保険がオンライン・ゲームを使って子供や両親の知識啓蒙活動に乗り出した。

カイザーパーマネンテとヒューマナ社は、娯楽要素の強い教育ツールを利用して消費者に医療情報を提供し、自分の健康に消費者自身が一層関与していくようなムーブメントをめざしている。これらのツールは「医療、教育、エンターテインメント」という三つの要素を併せ持つことから、「メデュテインメント」(Medical+Education+Entertainment)と呼ばれるとのことだ。

カイザーパーマネンテのゲームは肥満をテーマとしており、9歳-10歳前後の子供をターゲットとしている。カイザーは自社の小児科体重コントロール・グループから小児科医、医療教育専門家の新チームを編成し、ゲームコンテンツの開発を担当させている。このゲームのタイトルは「The Incredible Adventures of the Amazing Food Detective」。

このゲームでは、プレイヤーは食生活や運動の改善を学ぶことによって、8人のキャラクターを助けることに挑戦する。また、教師や親向けに補助教材が用意されており、教室や家庭でより効果的に「ゲームで学ぶ」配慮がされている。カイザーは全米5000校以上のパブリックスクールにゲームを配っているが、もちろん誰でもウェブサイトでプレイすることができる。

一方、ヒューマナ社は糖尿病をテーマにしたゲームを計画しているが、まだ開発は緒に就いたばかりらしく、公開は来年になるようだ。

たしかに肥満や糖尿病など生活習慣病は子供時分から発現するケースが増えてきており、予防のための教育活動もかなり早い時点から実施されなければならない。ただ、従来、行政や医療保険等が実施してきた予防キャンペーンは成人生活者をターゲットとするものであり、子供に対する働きかけは手薄であった。それに子供にリーチする医療キャンペーン・メディアやプロモーション手法も、充分には開発されているとはいえなかった。

今回の大手保険会社による「メデュテインメント」ゲームの投入は、新しい試みとして注目されるべきだが、では学校など教育現場での保健教育はどうなっているのか?。医療システム変革を考えるとき、来るべき「新しい医療」パズル全体を構成する一つのピースとして、初等教育における子供たちの医療リテラシー学習は非常に重要なピースであるように思える。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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