確かな医療情報をみんなで協力して集める:「WEGOHealth」

wego

医療情報の検索は依然として大きなテーマである。毎日たくさんの人々が医療情報を求めてウェブにやって来るが、現状の検索エンジンがそれらのニーズを十分に充たしているとは言いがたい。そこには未解決な問題が山積しており、またそれらに対し実にさまざまなアイデアが登場している。

Health2.0コンファレンスでも実演された「WEGOHealth」は、バーティカル検索や人力検索の長所を取り入れたユニークな検索サイトである。WEGOHealthをシンプルに要約すると以下のようになる。

1.ウェブ上の医療情報を専門家が選別し格付けし、良質の情報を選び出す
2.ボランティア・レビュアーや一般ユーザーが、選ばれた情報をレビューし格 付けする

つまり「専門家」と「ボランティア&ユーザー」の二つのコミュニティによって、ウェブから優良な医療情報だけを選び出し、良質の医療情報DBを構築する。そして最終的に、ユーザーに効率的な医療情報検索サービスを提供する。これがこのサイトの目指していることだ。

専門家としては、約20名の医学、生物医学、薬学などエキスパートをそろえている。ボランティア・レビューアーにはいくつかの「資格要件」を設けているが、実質的に誰でもなることができるようだ。また、専門家がウェブ上のサイトや情報を評価する際、評価基準として「WEGOHealthスコアカード」を設けており、8つの基準に対しそれぞれ5点評価する。

医療専門家による事前の医療情報スクリーニングは、バーティカル検索エンジンでは一般的に用いられる手法であり、HealthlineやGoogleCo-opでも採用されている。ただ、これらのバーティカル検索エンジンでは、一般ユーザーが情報を評価することはできない。ユーザーは一方的に「ビューワー」という立場に立たされ、情報を見ることだけが許される。

医療情報は高度に専門的であるがゆえに、医療専門家が評価すべきだという声もある。だが学問的な正確性とは別に、ユーザーにとってわかりやすい情報であるかどうかも重要である。特にユーザーが読んで理解できる情報かどうかなどは、医療者よりもむしろユーザー自身が評価すべきだろう。過去の1.0的な「eヘルス」の時代では、このような「専門的な観点からの正確性」だけに過度に神経質であったが、Health2.0のユーザー参加型アーキテクチャーの情報検索では、加えてユーザーリテラシーとのマッチングが必要となるだろう。

「コミュニティの力」を検索に活用することをめざすWEGOHealth。しかし、ボランティア・レビュアーと一般ユーザーの区分が不明確であるとか、二つのコミュニティ間の交流チャネルがないとか。いろいろな問題は見えているが、これから一つひとつ乗り越えていくのだろう。注目したい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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