これまでにない新しい医療サービスサイト“LifespringHealth”。さてこれを一体何と説明してよいものか思い悩む。それほど、従来のどの医療Webジャンルにも収まらないユニークさで際立っているのがこの”LifespringHealth”である。
医療系のWebサイトといえば、これまでそのほとんどが情報提供機能とコミュニティ機能を提供してきたのである。それに対し”LifespringHealth”は、メインとなるのがポイント蓄積機能である。ユーザーはこのサイトで医療ポイントを貯めることによって、医療費を安くすることができるのである。つまり”LifespringHealth”がユーザーに提供するコアバリューは「医療費削減」ということになる。そこが新しい。
ではポイントを貯めるにはどうするか?。ユーザーは”LifespringHealth”に会員登録し、まず提携リテーラーのショップでショッピングする。提携リテーラーは、ファッション、本と音楽、子ども用品、家電、食品、健康・美容、スポーツなど広いジャンルの有名大手どころ200数十店がそろっている。とりあえず、これらの店でオンラインショッピングすればポイントがもらえるのだ。
また、家族や友人を「招待」し、SNSのメンバーにしてもポイントがもらえる。たまったポイントは、医療保険の支払、医療機関の自己負担支払、処方箋費、フィットネスセンター利用費などの医療・健康関連費に換金できる仕組みである。つまり「ショッピングしてポイントが貯まる」という通常のeショッピング機能があくまで基本でありながら、そのポイントの使途が医療費に限定されているのがこの”LifespringHealth”のユニークなところである。また、ポイントの医療費換金のほかにも医療関連の特典を用意しているようだ。早い話、「トクして医療費を安くする”LifespringHealth”」ということか。
ほとんどの医療費が公定価格である日本のみならず、やはり米国でもさすがに医療費自体をマーケティングのインセンティブにすることは難しいのだろう。そこで”LifespringHealth”が考えたのは、医療費以外のショッピング周りで「ポイント」を設定し、それを医療費に充当することによって、間接的ながら医療費コストダウンというベネフィットを生み出しユーザーに提供するサービスであった。
今後このようにショッピングや金融などと医療を組み合わせ、まったく新しいユーザーベネフィットを提供するようなサービスが多数生まれてくることが予想される。このような異業種マージナルでハイブリッド型のマーケティングが医療Webでも重要になるだろう。
だが、「ショッピングでポイント」はよいのだが、「SNSへ人を集めてポイント」となると、何かマルチ商法めいてヤバイ感じもするのだ。
三宅 啓 INITIATIVE INC.