去る10月、米国マイアミで開催されたマーケティング・リサーチの国際会議”ESOMAR 3D Digital Dimensions 2011“において”Co-Creation Research”と題されたワークショップが持たれた。そのキャプションには「消費者を新製品と新サービス開発の共創者(Co-Creators)として理解しよう」というフレーズが掲げられていた。
マーケティング・リサーチは、今、大きな変革期を迎えている。この”ESOMAR 3D”の3Dとは「オンライン、ソーシャルメディア、モバイル」の三つの次元を指しているのだが、リサーチの主たるステージがこれら次元へ移ったというだけではなく、これまで主たる調査対象者であった消費者に対する見方自体も変わってきている。受動的に製品とサービスを受け取る、単なる調査対象とか被験者というものから、一緒にアイデアを生み出し、製品とサービスを共に創造するパートナーへと消費者観は一変したのである。
これら既存のマーケティング概念の劇的な変化を見ていると、同じことが、いずれ遠からず医療にも生起するだろうと思わずにはいられない。いや、医療においてこれら変化を積極的に起こさなければならないのだ。
患者を医療の共創パートナーにすること。
このことが必要なのだ。医療関連の製品とサービスの開発において、これからは「患者との共創」というスタイルが増えてくるだろう。私たちが開発した「患者のホンネを傾聴する患者体験データベース “dimensions”」も、このような文脈において意味と価値を持つものだ。
三宅 啓 INITIATIVE INC.