もう12月。早い。いきなり、真冬到来。寒い。壁のピカソのカレンダー、もうあと残すところ一枚。
1年を振り返るのはまだ早いが、やはり当方は「dimensionsで明け、dimensionsで暮れた」ということになるだろうか。思わぬ障害があれやこれやと立ちはだかったが、とにかく辛抱強く、一つひとつ乗り越えてきた。処理スピード、データの精度、バグフィックス等々・・・。夏場のサービスイン後も奮闘は続き、やっと完成度が期待値に来たのは、この秋も深まってからかも知れない。これまで誰もやってないことをやろうというのだから、しかたないと言えばしかたないが。それでも、ここまで徹底的にやってきて満足している。試行錯誤の中でノウハウと経験も蓄積できた。
そしてこれを土台として、「患者サマリー」と「患者視点の医薬品評価」を新たにサービス・メニューに加えることになる。最近の闘病ユニバースを見ていると、従来にも増して、闘病サイトの出現件数は大幅に増えてきている。これまで「闘病ユニバースは約3万サイト」と高を括っていたが、見くびっていたと思う。「大きな病気をしたら、ブログで体験を公開し共有するのが得策」という考え方が広く浸透しているような気配がある。これらの患者の生声を関係者へ届け、傾聴してもらうことの重要性をあらためて認識している。
私たちの事業は、この道を脇目もふらず、ひたすら直進するのみだ。
さて、米国でようやくリテールクリニックがティッピング・ポイントに達したようだ。先月、ここ数年のリテールクリニック市場動向レポートがRANDやCalifornia HealthCare Foundation、そして業界紙などから相次いで発表されたが、いずれも相当高い市場成長率が報告されている。市場の成長ぶりを見て、ウォルマートなどはこの分野への注力を表明しており、リテールクリニックのみならず薬品販売部門までふくめ、各コミュニティにおける「リテールヘルス市場」への一層の浸透をはかるとのことである。米国では医療IT市場がバブル的様相を示しているが、同時に、リアル医療サービスの業態革新が進んでいることにも注目したい。ITとリアルの同時進化がなければ医療が変わることはない。
日本では先月、GEヘルスケア・ジャパンが「healthymagination」サイトをオープンした。これは、医療と健康の身近な問題にフォーカスしたSNSと言えばよいだろうか。日本ではこの分野における新規サービス・ローンチが少ないので、今後の健闘を期待したい。とにかく頑張ってもらいたい。
Health2.0は単なる「掛け声」でも「売り声」でもない。狭い業界スラングでもない。このようなしっかりした作りのサービスが、実際に多数出現してワークする状態が来なければ、何の意味もない。
以上、12月の雑感である。
三宅 啓 INITIATIVE INC.