今週は、とにかく「医療情報の権利宣言」につきる。欧米のブロゴスフィアを見ていると、その後もこの「権利宣言」に言及するエントリが続々とポストされている。近年にないものすごい盛り上がり方であるが、近代医療史上、特筆すべき大事件であると言って過言でないし、また、おそらく今後のHIT(医療情報技術)の方向性を決定づけることになるだろう。
何十年かたった将来、私たちは「あの権利宣言で、医療の全てが変わったのだ」と言うことになるだろう。私たちの子供たちや孫たちが、きっと学校で「権利宣言」の歴史的意義を学ぶことになるはずだ。この「権利宣言」は米国のHealth2.0コミュニティだけのものではなく、全世界の闘病者・消費者のものである。もちろん、日本で新しい医療サービスを開発しようとしている私たちにとっての共有財産でもある。
この「宣言」は、たとえばEHRの現状にも変更を迫ることになるだろう。オバマ政権は米国のすべての医療情報電子化に向け、巨大な国家予算を計上しようとしているが、これに対し「現状EHRに対する国家予算注入は、古い技術を囲い込むことになる」と、これまでレガシーベンダが開発し、EHR認証団体の認証まで受けてきたEHRを「EHR1.0」と批判する声がすでにあがっている。たしかに従来のEHRが、この「権利宣言」が要求するような個人医療情報開示に対応できるかどうかは疑問視される。
今週、たしかに「歴史」が動いたのだ。そして動かしたのは「People」である。
三宅 啓 INITIATIVE INC.