データのポータビリティ

dataportability

先週のエントリーで取り上げた「データのポータビリティ(携行性、可搬性)」問題だが、ちょうど先週、GoogleとFacebookがこれに取り組む団体「DataPortability.org Work Group.」に加盟し、さらに二三日前にはLinkedIn, SixApart, Flickr, Twitterなども続々加入を表明するなど、いささかあわただしくもにわかに問題は焦点化されつつある。

だが、まだこの問題は解決の緒に就いたばかりと言わなければならない。関係者がテーブルに着いてこれから議論する段階である。であるからして、またその前途も不透明。そこに、シンプルに問題のありかを定義してみせるビデオがDataPortability.orgから発表された。まずはご覧あれ。

DataPortability – Connect, Control, Share, Remix from Smashcut Media on Vimeo.
さて、まず「データ・ポータビリティ」がユーザーに大きなメリットを与えることは容易に想像がつく。例えば、様々なウェブサイトにおける自分のアカウント入力が、OpenIDで済ませられれば便利である。アカウントネームやパスワードを思い出せず苦労することもない。つまり「データ・ポータビリティ」は、当然ながらまずユーザーのために確保されていく必要がある。

だがもう一方では、ウェブビジネスを運用する事業者にもメリットはある。これからは、「ユーザーを個人データで囲い込む」ようなプロプライエタリなサービスよりも、できるだけユーザーの選択を重視した「データ利用のオープン性」のあるサービスを提供する方が、結局、競争優位を手中にしやすいはずだ。それはいわゆる「ネットワーク効果」の恩恵を得やすいからでもあるが、ユーザーのプライバシーとデータコントロール権にだけは充分な注意を払い尊重する必要があるだろう。

この「データ・ポータビリティ」問題は医療でも重要であり、これまでHIPAA法関連以外あまり論じられて来なかったが、今後PHRなどを考える場合の一つのポイントになるだろう。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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