大統領選挙予備選が米国各地で始まったが、医療改革が大きな争点の一つとなっている。ブロゴスフィアでも各候補者の医療政策を論じるエントリーが増えてきているが、これらの議論の土台となるマテリアルとして「HEALTHCARE’08」という政策マップが公開された。これは医療情報提供サービス・サイト「HealthCentral.com」が制作したもので、非常にシンプルながら良くできている。
このマップは次の6つの政策イシューから構成されている。
- 医療改革:医療のコストと品質を改善するための一般的提案
- 無保険者対策:より多くの米国市民へ医療適用範囲を拡大するための提案
- 薬剤価格:処方箋薬剤価格を抑えるための提案
- 予防:慢性疾患の予防と管理のための提案
- 情報技術:EHRや他の情報技術への見解
- 幹細胞:医療研究に幹細胞を用いることに対する見解
これらの政策イシューごとに、各候補者の主張が二軸からなる属性空間上にマッピングされているので、各候補の政策上の立ち位置と相対関係が視覚的に把握しやすい。ちなみに「医療改革」について設定された軸は、縦軸が「重要度」で横軸は「政府ドリブン-市場ドリブン」である。これは「幹細胞」を除いたすべてのイシューにほぼ適用されているから、今回の大統領選挙において、医療改革が「政府 対 市場」という対立軸を持って争点化されていることが見てとれるのである。
それぞれの政策イシューに対する各候補者の主張は、候補者の顔写真をマウスオーバーすることで読むことができる。また、ユーザーは各イシューごとに自分の立場をプロットすることができ、自分の意見がどの候補者の政策に近いかがわかるようになっている。さらに候補者の他に「HealthCentral.com」のスタッフの意見がマッピングされ、これはマップ上にスピーチバルーンとして表示されるが、どうせならユーザーにも意見を自由に書き込めるようにしてほしかった。
もちろん各候補者は、自己の政策を整理して、他の候補者との差異をシンプルに切り出す努力をすべきだが、政策イシューが複雑になればなるほどこのような政策マップが有権者の役に立つ。このマップだけで米国医療の主たる問題点が整理概観できるはずだ。
三宅 啓 INITIATIVE INC.