昨日のエントリでPatientsLikeMeに関連して触れておいたが、稀少難病疾患を対象とした患者SNS「RARESHARE」 が先月ローンチされている。すでにRARESHAREでは、600疾患のアクティブ・コミュニティが立ちあげられているが、これを秋には1000まで拡大するとのことである。トップページにも書かれているが、稀少疾患とは言え、それら患者すべてを米国とヨーロッパで合計すると3000万人近くになる。つまり医療のロングテールに着目し、それら稀少疾患患者をネット上で一定のボリュームを持つコミュニティに集め、新しいサービス提供機会を作り出そうとしているのである。
ということになれば、このRARESHAREは、初めからグローバルな展開を構想していることがうかがえる。国境を越えたグローバルコミュニティなら、稀少疾患であってもまとまった数のメンバーを確保できるからだ。だが、文化や医療制度の違いなどをどのように乗り越えるかとか、まだまだ難問も多そうである。日本から見ると、当然、言語バリアがまず問題となる。
だが、日本全国で20人-30人しか患者がいない稀少疾患も確かに存在するのだから、稀少疾患のグローバル・ネットワークに対するニーズは潜在的に大きいはずだ。医療はその地域の文化、風土、社会などと密接に結びついたサービスである。すなわち、一挙にそれら地域固有性や拘束性を超えることはできないと思われている。しかし一方では、医学情報や闘病体験をグローバルに共有することのメリットも大きいはずである。特に稀少難病疾患においては、グローバルなネットワークのメリットは大きい。その意味でRARESHAREの今後に注目していきたい。
三宅 啓 INITIATIVE INC.