医療価格情報を検索し共有するサービス: OutOfPocket.com

OutOfPocket

商品やサービスの品質と価格を事前に知ることは、消費者が選択の自由を行使するための基本的な前提である。とりわけ事前に価格が分かっていないものを「買う」ことなど、消費者にとって普通はありえないことである。だが、医療においてはちがう。事前に価格が知らされることはまれであり、事後的に開示されることの方が多い。この医療価格の不透明さは、特に医療機関ごとに価格差の大きい米国においては深刻な問題である。

OutOfPocket.comは医療価格情報検索サービスを提供している。これによってユーザーは医療機関ごとの価格を事前に比較検討することができる。この価格情報ソースだが、三つある。

  1. 医療機関がOutOfPocketに提出した自己の価格リスト
  2. 公的機関が公開した各医療機関の価格情報
  3. ユーザーが実際に支払った医療費用

上記のうち3は、ユーザーが実際に体験した医療価格を、医療機関評価などと合わせ、OutOfPocketに自由にアップし共有するもの。いわば「実勢価格」が集められるわけだが、これは今までになかったもので面白い。

だが、現にこのサイトで既に見られることだが、医療機関側がオフィシャルに提示する価格と、実勢価格の間にかなり差があるような事態があるとして、それを一体どう理解すればよいのだろうか?。つまりそれは、「料金交渉」の存在を認めるようなことになるのではないだろうか。あるいは、そのことは意図的な「値引き」の可能性さえ、ほのめかしているのかもしれない。

そのように考えると、このサービスはなかなかに微妙なニュアンスを含んだサービスと言えるかも知れない。日本でも公定価格以外の価格について、このようなサービスが出てきて比較検討できるようになればと思う。

価格の透明性が確保されなければ、選択の自由もないのだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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