アメリカの医療Webサービス市場が久しぶりの活況を呈し始めました。ずっとWebMDの独壇場であったのが、前にご紹介したRevolutionHealthの登場により、にわかに競争が激化し始めたわけです。RevolutionHealthはまだプレビュー版ながら医療機関レーティングで45000のメッセージを獲得したそうです。昨年夏からスタートしたOrganizedWisdomがユーザーから集めたメッセージが公称6500であることを考えると、猛烈なスピードで拡大しており、先行したはずのOrganizedWisdomにとっても脅威になってきています。
そればかりか、RevolutionHealthは老舗WebMDをも脅かす存在になろうとしており、WebMDも対抗策として全面リニューアルを準備している模様。さらにWebMDはマーケティング戦略を変更し、従来にないB2B路線を鮮明に打ち出し、新たなターゲットを企業顧客やヘルスプラン顧客に求め始めました。このWebMDの戦略変更は、B2C戦略をWeb2.0ツール投入と大規模投資で強力に進めつつあるRevolutionHealthとの差別化をはかるものと受け止められています。
リニューアルに伴い、WebMDはPHRツールとして「Personal Health Manager」を新たに投入する予定。対するRevolutionHealthでは医療情報コンテンツを、アメリカ最大規模の医療機関であるメイヨークリニックとクリーブランドクリニックから調達すると発表。医療Web情報サービスのナンバーワンをめぐる競争は、にわかに熾烈になってきました。
かつて「Webでの医療情報サービスにはどんなビジネスモデルが成立可能か」という問いに、真っ先に答えを出したのがWebMDでした。その答えは「医療ポータルサイト」というモデルでした。それは全方位の医療情報コンテンツを大量蓄積し、量的優位性で武装することによって強力にブランドを構築するという典型的な巨艦主義でした。または典型的なWeb1.0モデルともいえます。長らくその覇権は続きましたが、ようやくというか、やっとWebの医療分野でも次世代企業の挑戦が起きたわけです。しかし、RevolutionHealthも投資総額5億ドルという巨艦。
新しいビジネスアイデアで敏捷性を発揮し新しい価値を提供する企業や、新しい医療分野のマーケティングを提起するような企業が出てきてほしい気がします来るべきでしょう。