海外の動向3:大本命登場、RevolutionHealth

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昨年末から、米国Web医療サービスの分野に「大本命」が登場しようとしており、大きな話題になっています。その名も「Revolution Health」。まだプレビューバージョンでテスト稼動している状態ですが、TechCrunchにも取り上げられるなど、正式稼動前にもかかわらず、大きな注目を集めています。

事業投資5億ドル。著名人の経営参画。

「われわれは普通のスタートアップ企業ではない」とチェアマンであるスティーブ・ケース氏が大見得を切るように、Web医療分野では破格の(この分野では、おそらく史上最大)投資総額5億ドル。スティーブ・ケース氏自身がAOLの前共同経営者でしたが、このレボリューションヘルスの共同創立者には、コリン・パウエル氏(前米国務長官)、カーリー・フィオリーナ氏(ヒューレットパッカード社前CEO)、ジム・バークスデール氏(ネットスケープ社前CEO)など、錚々たるビッグネームが顔をそろえているのも話題の原因なのでしょう。

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最強の医療ポータルをめざす

スティーブ・ケース氏は米国医療の現状に対し、「米国には優秀な医師や病院はあるが、システムが効果的に動いていない」とし、消費者の手により多くの情報、選択肢を取り戻すための「革命」が必要になっていると述べています。まだプレビューモードとはいえ、そのコンテンツ群は、およそ消費者が医療情報サービスに求めるものすべてを網羅したかのような、総合医療ポータルという陣容をすでに示しています。

  • マイページ(My Revolution)
  • ツールキット
  • 健康生活
  • 症状と治療
  • 医師と病院
  • 医療保険
  • 他の人から学習

以上の七つのサービスカテゴリーのもとに、それぞれバラエティー豊かなコンテンツが配置され、ここだけで医療情報サービスが完結するという「ワンストップ性」が用意されています。たとえば「ツールキット」では10の計算ツール、117の自己診断ツール、8つの追跡グラフツールまでが利用でき、細かいところまでユーザーのニーズに対応しようという配慮が見えます。これまで医療ポータルといえばWebMDがデフォルトな地位を占めてきましたが、あきらかにそれを超えてNo.1サイトをめざす熱気が伝わってきます。WebMDといえば「Web1.0」の代表格みたいなサイトでしたが、それと差別化するために、患者体験情報の共有、ブログサービスなど2.0的なUGMの機能も意欲的に装備しようとしています。また病院や医師のレーティング(格付け)機能のみならず、治療方法のレーティング機能まで導入しており、これは患者サイドの「他の患者は実際にどのような治療方法を選択し、それをどう評価しているかが知りたい」というニーズをよく洞察した結果であるといえましょう。明らかに「単に、医療情報を配信するだけの時代は終わった」という時代認識があるように見えます。このあたりのマーケティングセンスはさすがです。

そしてサイト・デザインがすばらしいですね。シンプルの極みともいえるデザインに、合理的なインターフェースの配置がすばらしい。このデザインは今後、Web医療サービスサイトの一つの標準になるのではないか、と思わせるものがあります。

1.0の尻尾

Revolution Healthがこれほどの巨費を投資して作られたということは、やはり米国でも「医療分野はWebの最後のフロンティアだ」という共通認識があるからかも知れません。さて、この最強医療ポータル、はたして文字通り、米国医療を革命できるでしょうか。われわれの眼から見ると、オープンではなくクローズドなサイト構造など、まだ1.0の尻尾が残っているところが気になります。


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