症状から医療情報を検索:MEDgle

medgle

医療情報検索は徐々にバーティカル検索が主流になってきている。だが、そのバーティカル検索のメリットはまだ生活者や患者に十分には理解されておらず、汎用検索エンジンに比べその利用率は低い。ところでユーザーの検索プロセスを考えてみると、バーティカル検索にせよ汎用検索にせよ、まず最初にユーザーが医療上の固有名詞(病名、治療名など)を特定していなければ何も始まらないのである。つまり、検索キイワードとして入力する特定の医療固有名詞をユーザーが知っていなければならない。

しかし、医療機関で医師の診断を受けて初めて自分の病気などに特定の固有名詞が与えられるのであるから、急の腹痛や頭痛について今すぐ何か情報をネットで調べたいとき、あてずっぽうの検索キイワードを入力してみるしかない。あてずっぽうであるから、知りたい情報を的確に探し出すことは難しい。

ここの点に着目することは、すなわち「症状から医療情報を検索できたら・・・」という生活者ニーズを焦点化することである。たしかに専門的な医学知識のない生活者にとっては、専門用語を検索キイワードに使うこと自体、非常にハードルが高い。逆に言えば、「正確な専門用語をキイワードとして使わなければ、的確な検索結果が得られない」という検索システムは、専門家向けではあっても一般のユーザー向けではないだろう。

MEDgleはユーザーの症状から医療情報を検索するサービスである。まずイラストで示された部位やテーマを選ぶと、それに関連するキイワードがプルダウンメニューで示される。該当するキイワードを選択することによって、自分の症状からどんな病気の可能性があるかを調べていくことができる。また、より的確な検索結果を得るために、登録ユーザーは「Health Profile」に自分の簡単な病歴をまとめておくことができる。この情報がより的確な検索のために利用されるわけだ。これはまだ非常にプリミティブではあるが、「PHR機能を検索機能と結びつける」という、今までにない新しいサービスの方向性を示唆しているともいえよう。

このMEDgleを見ていると、サイトの完成度自体は決して高いとは言えないが、医療情報検索サービスという開発されつくしたかのような感のあるカテゴリーにも、まだまだ様々な斬新なサービス開発の切り口があることを教えられる。いずれにせよ「検索」という機能をコアに、他の機能をどのように組み合わせ、サービスのシークエンスをどうデザインし、どのようなユーザー・ベネフィットを提供するかという発想が、つまりやはりオーソドックスなマーケティング発想が必要なのだな、と再確認させられた。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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