「納豆問題」と医療情報

関西テレビの「納豆ダイエット効果」捏造番組をめぐる一連の事件。お粗末でした。図らずも、テレビ局の番組制作の重層的下請け構造と番組品質管理の杜撰さが明らかになった上に、この手の情報番組で配信される「健康情報」の信憑性の低さを知らしめました。この番組のみならず、健康情報はテレビ、新聞、雑誌など毎日マスメディアに満ち溢れています。Web上の情報まであわせると、私達は日々大量の健康情報の洪水につかっているようなものです。

みざる、いわざるしかし、今回のように捏造情報が番組でおおっぴらに配信されるとなると、今後、マスメディアで配信される健康情報の信頼性をどのように確保していくかが問題になるかもしれません。でもまさか「事前検閲」するわけにもいきませんから、結局は番組や記事の制作者の良心に任せるほかありません。それでも、現実には視聴率至上主義のもとに、ウケ狙いの過剰演出と迎合路線がとられている以上、もうこれは視聴者のほうがリテラシーを発揮して、情報を吟味していくしかないのではないでしょうか。「テレビの客観性」など、信じるほうがバカを見ます。今では「健康情報」も単に面白おかしく消費する対象になっており、事実根拠や信頼性とは関係なく、「面白いかどうか」が問題なのです。

かつて、キイ・テレビ局や大新聞社のブランドが情報の信頼性を担保していた時代がありました。しかし、それも今にして思えば、一応、信頼できるように見えていただけかもしれません。

Web上の健康情報、医療情報もその信頼性はさまざまです。Googleで検索すると、きちんと根拠のある情報からオカルトまがいのものまで一緒くたに結果が表示されます。 この現状を改善すために、前にご紹介したHealiaなどはバーティカル検索エンジンを使って、信頼性の低い「ゴミ」を排除しようとしています。これは有効な手法です。

かつてインターネット初期の時代には、医療情報を配信するサイトを、情報の信頼性の観点から審査し、合格したサイトに認定マークを発行して信頼性を担保する試みがいくつかありました。しかし、それは医療関連サイトがまだ少数のころは有効だったでしょう。しかし、現在のようにサイト数が爆発的に増えてくると、いちいち審査認定することは物理的にも、またコスト面から見ても不可能です。

ますます、生活者のリテラシーが重要になってきたと思います。「審査認定」など規制をかけるのはインターネット的とはいえません。みんなのリテラシーと、それからバーティカル検索エンジンのような技術でもって、Web上の医療情報の信頼性を高めていく道が得策であると思えます。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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