画期的な新医療検索エンジン”CureHunter”

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医療分野に特化したバーティカル検索エンジンは、HealthlineやHealiaをはじめ、GoogleCo-opの”Health”に至るまでいくつか登場してきた。これらを一覧すると、医師など医療エキスパートによってあらかじめ検索対象サイトを限定し、検索結果の信頼性を担保するという共通点がある。

これらのバーティカル検索エンジンとは違う考え方を携えて、画期的な検索エンジンが新たに登場。“CureHunter”は米国国立医学図書館の全アーカイブを調べ、すべての薬物と疾病に関する結果エビデンスを抽出できるという。

特に「Dictionary」機能では「Visual Medical Dictionary」という名称が目を引く。これは調べたい疾病名を入力すると、まず一般的な定義とともに「Context Tree」として関連論文をツリー上に表示してくれる。さらに「薬物-疾病関係ネットワーク」のペインには、その疾病に関係する薬、関連疾病、治療方法等のファクターが、ファクター相互の関係性を反映した「ネットワークグラフ」として視覚的に表示されるところがユニーク。

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たとえば上図は2型糖尿病を検索した結果のグラフだが、2型糖尿病においてObesity(肥満)という疾病ファクターが、治療ファクターのExercise(運動)と薬物ファクターのInsulin(インシュリン)と他のファクターよりも強い関係性があることが視覚的に把握できる。

このCureHunterの提供サービスだが、患者、医師、研究者向けに様々な情報提供が用意されている。ちなみに患者向けの提供ベネフィットとして次のように説明されている。

・あなたの医師とのディスカッションの基礎材料を提供
・新しい治療選択肢の発見
・関連疾病の理解
・あなたの医師の診察を明確化
・あなたの病気に精通する
・あなたの選択の範囲を知る
・客観的で公正な医薬品情報を得る
・低コストの選択肢を見つける

また「患者と家族」向けの検索窓下には、「10秒でマシン・セカンド・オピニオンを得る。すべてのピア・レビュー・エビデンスを一冊のレポートで得る。」というキャッチフレーズが読める。

患者向けの検索情報提供は画面上に表示されるスタイルではなく、PDFの有料レポート形式となっている。

今後、検索エンジンは検索結果を視覚的にわかりやすく表示する機能が必要になるだろう。もっと言えば、患者が本当に求めているのは、単なる検索結果リンクではない。 患者が求めているのは、自分の病気に関する「問題解決」である。検索リンクリストや情報ページなどの中間項をカッコにくくり、「検索→問題解決」というシンプルなベネフィット提供をどのように実現するかが、今後の医療検索エンジンの競争ポイントであるような気がする。

マーケティングの有名な格言を思い出す。「顧客は電気ドリルを買うのではなく、ドリルによって開けられた『穴』を買うのだ」(セオドア・レビット「マーケティング発想法」)。

これは消費者がハードとしての電気ドリルではなく、電気ドリルで実現されるベネフィット(開けられた「穴」)を買うのだという本質をよくつかんでいる。同様に患者が求めているのは「検索結果リンクリスト、情報ページ」ではなく、「問題解決」というベネフィットなのだ。その意味で、ベネフィット提供へ一歩踏み出したこのユニークなCureHuntingが注目される。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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