UGM(ユーザー生成メディア)と医療界関連サイトの共存

sidebyside

これまで、エンビジョン・ソリューションズ社の”Diving Deeper Into Online Health Search”、ジュピターリサーチ社の”Online Health: Assessing the Risk and Opportunity of Social and One-to-One Media”、英国経済社会研究所の”Bodies Online. Information and advice-seeking in the health and fitness domain”と、三本の調査を紹介する中で、ユーザーがウェブで医療情報を調べる場合、UGMを利用するケースが増えてきていることがわかりました。

これに対し政府機関、製薬企業などのウェブサイトは、逆にユーザーに敬遠される傾向まで指摘されています。しかし、このような傾向をどう評価するかとなると、一概にUGMだけに肩入れするわけには行かないだろうと思います。

今月はじめフィラデルフィアで開かれた製薬業界の「eマーケティング・カンファレンス」において、先のジュピターリサーチ社調査を実施したモニカ・レビがプレゼンテーションをしています。

それによれば、昨年、34%のアメリカのインターネットユーザーが、医療や健康関連のUGMを利用しており、近い将来、これは50%に達するだろうとのことです。ではこれらユーザーのうち、UGMの情報をどれだけ信用しているかですが、17%がUGMの医療健康情報を「信用している」と答え、80%が「ある程度信用している」と答えたそうです。特に薬物や治療の経験を具体的かつはっきりと提供してあるコンテンツは信用される傾向が強い結果が出ました。

これらを報告してモニカ・レビは、「企業がヘルスコネクターやUGMに接触することは重要であるが、このような強い影響力を持つ者に焦点を当てるよりも、われわれはより一層、人々が利用できる医療コンテンツや情報を提供することに焦点を当てるべきである」と述べています。「病院、製薬企業、政府機関や他の医療業界関係者は、人々の個人的体験と共に、人々の医療選択を助ける情報をできるだけさり気なく提供することによって、オンライン会話にうまく参加できるだろう。」

このようにUGMと医療業界サイトの「共存」が積極的に語られたのは、おそらく初めてのことではないかと思われます。その背景には、医療業界にとっても、UGMが無視できない存在になってきていることがあります。

特に医療機関サイトは、これまでユーザーから「専門用語がわかりにくい」と見られるか、「とおりいっぺんの一般概論しかない」と見られるか。どちらかというとユーザーの目線やリテラシーにフィットしていない情報が多いととられていました。UGMはまさにその「わかりやすさ、具体性、同じもの同士」ということが共感を呼び、急激に広く受容されていったのです。しかし医療UGMは「医療情報の信頼性」という点では、医療機関サイトよりも劣ることは明瞭であり、もともと「体験」を中心に語ることの限界も持ち合わせています。

では両者の「共存」が具体的にどのような形をとり、どのような実を結ぶのか。これは今後の課題となりますが、双方のメリットがデメリットを補い合うような関係が作れたら、素晴らしいでしょう。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>