食べログに関する諸々

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上の写真は、当方オフィス壁にあるカレンダーだ。妻からもらったものだが、絵がなんともユーモラスで面白い。とりあえず、一月から三月までのワンクール分を貼ってみた。そう言えば、一月も終りが見えてきた。

年明け早々、ネットでは「食べログやらせ問題」というのが出てきて、現在もあちこちで議論されている。このようなクチコミ・サービスでは、「やらせ」は当然あるとの前提で情報を利用するのが普通だ。そこを、極端な公正さをもとめること自体が間違いだ。「やらせかどうか」などといくら追及してみても、ムダというものだ。そんなものは最初からある、と考えるべきだ。

ところで昨年ニューヨーク・タイムズに、ある患者がクリニックへ行ったら、医師から藪から棒に「私は今回の診察および治療について、ネット上のクチコミサイトには一切投稿しないことを誓約します」との誓約書にサインするよう求められたという記事があった。米国では、医師個人に対するクチコミ評価サイトが大繁盛しており、これに対し医師側からは「医師のプライバシーと権利を守れ」との反対論が強く出されている。

この患者の場合、身体の痛みを早く何とかしてもらいたいので、やむなく誓約書にサインをしたが、後日、症状が一向に改善しないので、医師評価クチコミサイトに「〇〇医師の治療は最低だ」とのコメントを書き込んだ。これが医師に見つかり、患者の手元には誓約書違約金の請求書が医師から届けられたという。患者はこれを不服とし、現在、係争中である。

この伝でいくと日本でも、たとえばラーメン屋に入ってラーメンを注文したら、「私は、この店のラーメンについて、食べログなどクチコミサイトで不当な悪評コメントを、一切書きこまないことを誓約します」との「ラーメン誓約書」に、まず署名してからラーメンを食べるよう店から要求されることになるのだろうか。これはめんどうだ。

ではこれらクチコミ情報は、どの程度データとしての利用価値をもっているのだろうか。そう考えてみると、まず、やはりデータの「量」が問題となる。少ない量のクチコミ情報から「一般意志」が立ち現れることはまずない。食べログは現在、月間三千万人のユーザーが利用しており、323万件のクチコミが書き込まれている。このコメントは全国67万件の飲食店に分散しているから、おそらくロングテール状の分布になっていることは想像に難くない。それでもこのくらいのデータサイズになれば、そこからなんらかの一般意志を抽出することは可能だろう。

そんなことを考えていたら、ちょうど一年前に、個人的なことで申し訳ないが「食べログ・ツイート事件」があったことを思い出した。あの時、一切釈明をしなかったが、あの「食べログ=Health2.0」論批判ツイート群は、実は、ある特定の個人を想定したものではなかったのである。たまたまユーストを見ていて、あるイベントで語られている言説に接し、「これは、まずいのではないか」と思い、考えをまとめるためにツイートを書きはじめたが、偶然その過程で、ある知人が準備していたセミナー情報に遭遇し、「ついでに、これもまとめて言及しておこう」となったわけだ。

ところが、失礼な言い方で申し訳ないが、その「ついでの方」から「けしからん!」とのお叱りを受けた次第である。誤解なのだが、その誤解の余地を作ったのは当方に間違いないので、弁解のしようがない。爾来、申し訳なく思っている。誤解もまたコミュニケーションであり、その成り行きには責任が生じるのである。

こうなると、「三宅さん、話す前にこの誓約書に署名してください」と言われることになりそうだ。「私は、これから会談する内容を、いっさい食べログに書き込まないことを誓います」。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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