今月から慶応大学病院は患者向けの医療情報提供サイト「KOMPAS」 を公開している。KOMPASは疾患を解説した「病気を知る」、検査法や薬などの「医療・健康情報を知る」、最新の治療方法を伝える「最新の医療」の各コーナーに同病院オリジナル・コンテンツをアップしている。
このサイトは昨年からイントラネット経由で院内に配信されていたようだが、今月からインターネット公開に踏み切った。運営委員の加藤教授はブログで次のように述べている。
「院内での情報提供は、病院を訪れた人の最大公約数にあたるものを目標とすればということで作られたが、インターネットに接続されると、希少な疾患の情報にもアクセスしてくる人が出てくるだろう。いわゆるロングテールの部分を拡充していく必要があろう。」
(「健康情報広場 医療健康情報サイトKOMPASのネット上の公開開始」MELIT )
これまで日本の医療機関サイトといえば、診療科目、設備、診療日時など、そのほとんどは営業情報メインで作られていた。そのためどの病院サイトも画一的で同質化しており、患者の医療情報ニーズにほとんど応えていなかった。その意味で病院の営業情報サイトとは別に、医療情報提供に特化した独立サイトが作られたことは評価できるのではないだろうか。患者の立場から見ると、とにかく「病院の医療情報サイト」だから安心して利用できることが大きい。このKOMPASを一つの先行事例として、他の医療機関においても多様な医療情報提供が開始されることを期待したい。
だが言うまでもなく医療は日進月歩で進歩しており、一度作られた医療情報コンテンツは早晩陳腐化する。当然、相応のコストはかかるが頻繁に更新することになる。そこをどう効率化するかだが、これは医療エキスパートのクラウドソーシングを活用すれば解決できるのではないか。たとえばWikiを活用すればよい。あるいはエキスパートのブログをアグリゲーションする方法もあるだろう。
また「伽藍的コミュニケーション」で医療情報を一方的に配信するのではなく、双方向のバザール的コミュニケーションの仕組みがあったほうが良いだろう。KOMPASではまだ実現されていないようだが、消費者・患者が参加できる仕組みをどう用意するかが肝となるだろう。
医療機関発の医療情報提供ということでは、まずMayoClinicの非常に充実した活動が思い浮かぶが、日本でもKOMPASのようなサイトが現れたことを喜びたい。
三宅 啓 INITIATIVE INC.
加藤教授主宰のMELIT 医療情報リテラシーで患者としてブログを書いているガンファイターと申します。
2010/3/11 木曜日の慶応大学病院の医療情報提供サイト「KOMPAS」のブログエントリー(記事)に引用されている、(「健康情報広場 医療健康情報サイトKOMPASのネット上の公開開始」MELIT )のリンク先はクリックすると、404 Not Foundとなっています。
正しくは、http://melit.jp/news/2010/03/02/post_71.htmlです。
私は、年間に100万から200万人が診断を受ける尿膜管がんという珍しい患者です。希少な疾患の情報の充実の必要性を感じており、TOBYOにも登録しました。
TOBYOのさらなる発展をお祈りします。
ガンファイターさん
ご指摘ありがとうございました。早速修正しました。