ブログ開設1200万件と闘病サイト

JapanMap

昨日のNHKニュースで、何度もこの「ブログ1200万件」を目にした。ちなみに先日発表された日経新聞調査によれば、昨年11月末の時点で、ブログの国内開設数は1354万件。これは前年同月比で約五割増になるらしい。どちらの数値も、およそ日本人の10人に1人がブログを持っていることを伝えている。

最近、あらためてウェブ上の闘病サイトを概観してみたが、たしかにブログで闘病記を書くケースは以前にもまして増えてきている気がする。と言うより、これからの闘病サイトはブログが主流になることは間違いないと思われる。昨年1月に「ブログの隆盛と闘病記」というエントリーを上げてあるが、この時点でのブログ闘病サイトについて、三つ問題点を指摘しておいた。

  1. ユーザーが必要な闘病情報へたどり着きにくい
  2. 「闘病記」ではなく「生活全体の日記」という体裁になりつつある
  3. 汎用検索エンジンから闘病情報が見つけにくい

今から考えると、上記のうち特に2が重要だと思える。先日ウェブ上の闘病サイトを再チェックしてみてわかったのは、ブログ闘病サイトでサイト名称を変更しているケースが多いことである。傾向としては、「具体的病名を含む名称」から「一般的な日常生活寄りの名称」へと変えられることが多いように見受けられた。中身を見ると、病気が完治したり、あるいは寛解したりして、生活に占める闘病の割合が減少するケースで、より日常生活的な名称へと変更することがあるようだ。

このような名称変更の事情はよく理解できるが、一年前、当方が上記2を問題にしたのは、「サイト名称から闘病サイトが区別できなくなって来た」ためである。そして、仮にそのブログサイトが闘病体験を含むものであったとしても、上記1のように、その情報がブログサイトのどこにあるかが見つけにくくなってきている。さらに、これらの結果として、上記3が生起している。以上のような観点から、ブログ闘病サイトの問題を取り上げたわけである。

そこで、闘病情報とその他の生活情報を区別するような仕組みが必要なので、たとえば標準的な闘病サイトフォームを作ろうかと考えたりしていた時期もあった。いわば「闘病サイトの標準仕様化」である。だがその後、その考えは撤回した。まず、人は24時間、闘病だけで生活しているわけではない。人と会ったり、話したり、食べたり、飲んだり、読んだり・・・・。様々なトピックスによって、多彩に彩られているのが人の生活である。それら総体から、闘病だけを分離することは、本当はできないだろうと思うのだ。

だから、闘病サイトがブログ中心になり、闘病情報が若干見つけにくくなったとしても、ある意味それはそれでいたしかたないだろう。だが、ユーザーの便宜を図るためには、なんらかの工夫も必要だろう。これは今後、「ストラクチャード・ブロッギング」や「マイクロフォーマット」などの普及浸透に期待したいところである。TOBYOでは当初、必要な闘病情報にたどり着くために、バーティカル検索とSBMとで対応することになるが、いずれ新しいテクノロジーにもチャレンジしていきたい。

さて、ブログ開設1200万件ということは、相当の闘病体験がウェブ上に存在することを想起させる。ウェブ上にどのくらい闘病サイトが存在するかは、実のところはっきりしないが、ブログ自体の拡大によって年々増加しているのは間違いないだろう。TOBYOはこれらの闘病サイトを、ユーザーみんなの手によって探し出し、最大限可視化して行く「ソーシャル・プロジェクト」でもある。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>