リテールクリニック+遠隔医療=Wal-Mart

UTMB

最近、米国で急成長しているリテールクリニック(看護師によって運営されるクリニック)だが、ショッピングセンター立地で低料金、しかも24時間365日営業が消費者に支持されている。ウォルマートは、先日、新タイプのリテールクリニック「Walk-In Telemedicine Health Care」をヒューストンから展開すると発表した。

この新タイプのリテールクリニックは、看護師の代わりに救急救命士を配置し、センターで待機する医師との間を遠隔医療機器と遠隔医療プログラムで結び、消費者に医療サービスを提供する。遠隔医療プログラムはUTMB(テキサス大学医学部ガルベストン校)が開発したもので、10年前に開発されてから世界的に評価の高いプログラム。

リテールクリニック業界では、Minute ClinicやRediClinicなどの競争が激化しているが、今回のウォルマートの「Walk-In Telemedicine Health Care」はこれら競合ブランドとの差別化をめざし、消費者の医療サービス選択の幅を広げるものである。

米国では、リテールクリニックは「医療コスト削減のカギを握る新業態」として期待が大きい。ちょっとした風邪や外傷に対応する簡便な医療サービスとして、その便利さが消費者に受けている。日本でもようやく「医療コスト」が問題になりつつあるが、どうしてこのような新業態が出てこないのだろうか。やはりこのような新業態は、地域における診療所の既得権益を崩しかねないので、医師会あたりが真っ先に反対するからだろう。「診療所のコンビニ」とも言われるリテールクリニックだが、日本で「コンビニ診療」と言えば、もっぱら最近の消費者の軽薄安易な医療サービス利用を、医療者側が諌めるときに使われるようだ。

だが、消費者ベネフィットを重視し、医療サービスの選択肢を増やし、なおかつ医療コスト削減を図る上で、思い切った規制改革が必要になっている。医療提供のプロセスにも流通革命が必要なのだ。そういえば、たしか一昨年から、新宿で「コンビニ診療所」を標榜するベンチャーが診療所を開業したはずだ。がんばってほしい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


リテールクリニック+遠隔医療=Wal-Mart” への2件のコメント

  1. はじめまして。
    上記のご指摘を頂いた、新宿の「コンビニ診療所」の関係の者です。
    貴兄のブログに出会って以来、過去の投稿を含めすべて読ませて頂いております。
    私は、上記の経験を経て、今なおその情熱は失わず、日本の医療の未来に向かって歩みを進めている次第であります。
    (現時点ではまだ公にできない事が多く、ここには書くことができません。)
    いつかお会いする機会を頂ければと思いながら拝読しておりました。
    御多忙中かと存じ上げますが、ご検討いただければと思います。
    失礼いたしました。

  2. はじめまして。コメントをいただき、また当方ブログをご愛読いただきましてありがとうございます。

    しかし上記エントリを書いて、当の新宿「コンビニ診療所」関係の方から、たちどころに直接コメントをいただくとは驚きました。これも何か「ブログ時代の縁」かも知れません。

    調整の上、改めてご連絡します。

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