医薬品副作用検索を簡単に:DoubleCheckMD

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生活者向けの医薬品情報提供サービスは、これまでにいくつか登場している。中にはかなり網羅的なDBもあるが、生活者から見て使いやすさという点ではいま一つであった。この点を洞察した結果、自然言語検索や症状からの検索など、新しいアプローチから開発されたDoubleCheckMDがベータ版で登場した。

「今日、FDA(米国食品医薬品局)よれば、医薬品副作用は米国における第四位の死因である。消費者はしばしば、医薬品情報のあまりの多さに圧倒され困惑する。またこれまで、医薬品の相互作用に関する包括的な情報は、医療プロフェッショナルだけがすぐに利用できるものであった。いま、消費者と医療プロフェッショナルはDoubleCheckMDによって、病状、医薬品、はっきりしない副作用、そして何が人命救助に役立つデータであるかの情報を探すときに、見当違いの調査をせずに膨大な時間を節約することができる」。(DoubleCheckMD.com: Questions & Answers)

米国における医薬品副作用問題はかなり深刻に受け止められており、このため、たとえば電子処方箋プロジェクトへの取り組みなど、かなり強力に進められているわけだ。

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DoubleCheckMDを開発しているEnhanced Medical Decisions社のCEOにして医師でもあるマーリーン・べゲルマン氏(写真)は、さまざまな医薬品の混合と付随作用は「副作用の流行」とでも言うべき現象を生んでおり、それは医療従事者が追跡するにはあまりにもおびただしい量である、と述べている。

「マシンなら助けられる。それ以外にない。」とべゲルマン氏は考えていたそうだ。そこへエンジェル投資家グループが現れ、一年のうちに「何か」のベータ版をローンチするようにと、150万ドルの資金を出してくれたとのことである。(日本では考えられない。うらやましい話である。)

DoubleCheckMDは1300種類以上の医薬品(ブランド品、ジェネリック品の両方)について155,514件の副作用情報を集めたとのことである。そしてユーザーの便宜をはかるために自然言語による検索システムを開発。これにより、ユーザーは症状と医薬品を自然言語で入力することによって、症状に関連する医学研究情報など副作用情報を検索することができる。

また消費者のみならず、ユーザーとして医師や薬剤師も想定しているようだ。今日、医薬品副作用についての情報量はあまりにも膨大であり、たとえプロフェッショナルであっても個人の処理能力を越えているからである。

DoubleCheckMDは九月よりベータ版をテスト運用しているが、正式リリースは2008年になる見込みである。当面、ターゲティング広告と技術ライセンシングに基づくビジネスモデルを想定しているようだ。

日本で医薬品副作用情報はどのくらい需要があるのだろうか?。米国では副作用問題が社会的に大きくクローズアップされているので、このような情報サービスの成立余地があるのだろう。日本でも薬害C型肝炎などが問題になっており、潜在的なニーズは大きいかもしれない。とはいえこのサービスに関して言えば、症状を自然言語で入力して検索できるというところが、今までの類似サービスに対し決定的なアドバンテージになっている。

医療関連の情報サービスでよくまちがえるのは、医学の専門的見地からサービスを組み立ててしまうことが少なからずあるという点。特に病気や医薬品を専門的カテゴリーなどを使って分類してしまうと、消費者にはかえって使いにくいサービスになってしまう。たしかに医学的な正確さと、消費者視点の間には「断絶」がある。これをどうブリッジするか・・・・・。このDoubleCheckMDのケースはその一つのヒントを教えてくれるケースだと思う。

参照: Website to enhance drug side-effects data, Mass High Tech, by Christopher Calnan, Friday, October 5, 2007

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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