Web医療情報利用動向

DATA

消費者はWeb上の医療情報をどのように利用しているか。最近、米国で発表された調査結果からひろってみる。

まずジュピターリサーチ社が発表した情報検索行動調査(US Health Consumer Study 2007 )によれば、一般にユーザーの特定医療関連サイトに対するロイヤルティは低く、また検索結果に対する反応も、「情報ソースの信頼性」よりも「情報の適切性」を重視する傾向が明らかにされた。さらにWeb医療情報のヘビーユーザーは、医療特化型バーティカル検索エンジンを利用する機会が多いことも判明した。

「情報の適切性」とは、ユーザーが探している情報とコンテンツの関連性の度合いであるとされる。医療情報では通常、情報ソースの信頼性が最も重視されるとされてきたが、この調査では「適切性」のほうが重視されるとの結果になった。「誰が情報を出しているか」よりも、「求める情報に合致するかどうか」が重要なのはある意味当然ではあるが。

一方、米国ハリス・インタラクティブの世論調査によれば、インターネットで医療情報を探す人の数は年々増加しており、まずネットで一通りの医療情報を調べてから、その情報をかかりつけ医のところへ持ち込むことが一般的になりつつある。ネットで医療情報を調べる人は、米国成人ユーザー2億2500万人のうち、2005年-1億1700万人、2006年-1億3600万人、2007年-1億6000万人と年々増加。

この調査結果に対し米国家庭医アカデミー会長のリック・ケラーマン氏は、医療情報をネットで調べる人が増加していることは、消費者がより一層医療に参加していることを意味していると評価する。だが「マイナス面は、訪問するサイトに十分注意しなければならないということだ」と言う。また患者がWebの情報を大量に診察室に持ち込むことによって、診察がこじれることもあり、患者は家庭医との連携を十分にとることが必要であるとしている。

ネットでの医療情報利用が量的に拡大し、患者側の情報武装が進むにつれ、リアルの「患者-医師」関係が変容してきているということなのだろう。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>