「入院患者のための個人Webページ」では“CarePages”が有名だが、どうやらRevolutionHealthに買収されたようだ。この分野では病院が単独でサービスに取り組む例もあるが、患者側の潜在的ニーズが大きい割にはサービスの数が少ないと思う。今回たまたま、アラスカのベンチャー起業のサービス“theStatus.com”を発見した。
このサイトが提供するサービスは極めてシンプル。
「theStatus.comは患者、その友人、家族がWebを使ってコミュニケーションすることを支援します。簡単にあなた自身が望むときにページを作れて更新できます。家族や友人はサイトのゲストブックにメッセージやサインを残せます。これらのページは無料で使えます。病院や団体のスポンサーシップにより支援されています。」
患者個人の簡単なWebページを作り、家族、友人とのコミュニケーションをはかろうというもので、何の変哲もない。ここをわざわざ利用するよりも、最近ならSNSを利用すればもっと快適なコミュニケーションができるだろう。
ビジネスモデルは基本的に医療機関のスポンサーシップに依存しているようだ。たしかに、個別でこのようなシステムを運用するよりも、広告フィーを払って、自院サービスの一環として患者にサービス提供した方が医療機関としては安上がりである。
スポンサーシップ獲得のプロモーションとして、このサイトでは医療機関に向けて次のようなメリットを訴求している。
・病院-患者関係の改善
・ブランド認知の向上
・社会的好意形成
だがこのような訴求ポイントが、医療機関側を簡単に説得するとは思えない。何か大昔のWeb1.0時代に戻ったような感じがする。当時は、そういえばまだあまり企業・団体側がWebを知らなかったせいもあり、ずいぶん大風呂敷を広げた何の実効性もない「戦略」が、堂々とまかり通っていたものだ。
そして肝心の患者個人ページの作りであるが、今日の水準から見ればプアであることは隠せない。インターフェースも機能も不十分である。だが、Web上にある医療サービスの大半の現状は、まだこのようなレベルにあるのだ。なんとかしなければならない。
三宅 啓 INITIATIVE INC.