ソーシャル・ニュース・サイト(またはニュース・アグリゲーター)はシンプルな機能ながら、最新の必要な話題を見落とすことがないので重宝する。この分野の代表的サイトDiggの大成功を見ても、多くの人のニーズをつかんだサービスであることがわかる。さて、昨年から医療特化型のソーシャル・ニュース・サイトが増えてきている。
当ブログでもBioWizardを紹介してあるが、その後、さまざまなサイトが相次ぎオープンしている。これらは基本的に医療プロフェッショナルをターゲット・ユーザーにしており、医学文献情報を集め、評価し、共有する機能を備えている。
この中で”JournalReview”は”BioWizard”と同じく、ニュースソースを文献データベースPubMedに限定している。これに対し他のサービスは、特にニュースソースを限定せず、ユーザーが見つけた情報を自由に提出できる。
医療プロフェッショナルがよく利用するPubMedに依存した形で開発された”JournalReview”と”BioWizard”は、他のサービスに比べ、PubMedの信用と認知をそのまま利用できるので競争上優位に立つといわれている。
しかし、多数ローンチされたこれらのサイトは、提供サービスの点でほぼ似たり寄ったりであり、いかに他との差別化ポイントを作り出せるかが競争課題となっている。このサービスの同質化を突破できなければ、後発サービスが一番最初にローンチした”BioWizard”の先行者メリットを崩すことは難しい。
これら医療特化型ソーシャルニュースサイトが増えている背景として、まず当然ながら医療プロフェッショナル側にニーズがあるということだが、これらサービスがコスト的にも技術的にも簡単に開発しやすいからだとも言われている。この種のサービスの母胎となったDiggだが、開発初期コストはわずか2千ドルであったらしい。オープンソースとレンタルサーバーだけでローンチできたわけだ。また、最近ではこれらニュースアグリゲーション機能を簡単に作り出せるCMSが出回っていることも大きいといわれる。
しかし、これらのサービスがすべて医療プロフェッショナルをターゲットユーザーとしているのはなぜだろう?。患者・生活者など、一般ユーザー向けのサービスが出てきてもよさそうだと思うが。誰もやらないのなら、TOBYOでやってみてもよい。
三宅 啓 INITIATIVE INC.