米国政府、ブログで鳥インフルエンザ・キャンペーンを開始

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「21世紀の世界保健に対する最大の脅威」(WHO)といわれる鳥インフルエンザ(H5N1ウイルス)は、既にインドネシアでは死亡者が70人に達し、先週、ベトナムでも感染者を確認している。米国政府は既に鳥インフルエンザ予防啓発の広報サイトを立ち上げているが、5月22日からブログサイト“Pandemic Flu Leadership Blog”をローンチし、ブログで予防キャンペーンを展開し始めた。これは社会的な問題解決、それも医療分野での問題解決にブログのようなソーシャルメディアが活用される最初の事例となるだろう。

ブログ・キャンペーンのねらい

米国HHS(保健社会福祉省)のレビット長官は、6月13日にビジネス、宗教、市民、医療界など各界で影響力を持つリーダーを招集し、鳥インフルエンザ感染対策フォーラムをワシントンDCで開催すると発表した。同時に、この「ワンデイ・フォーラム」に召集される各界リーダー達が共同執筆するブログサイトを立ち上げ、より一層広く社会的な関心と参加を喚起しようという目的でこのブログ・キャンペーンは実施される。

召集される14名のメンバーの顔ぶれを見ると、医療界をはじめ各界のリーダーに混じって、eBayの創業者で会長のピエール・オミジャール氏、新しいソーシャル・マーケティングの提唱者として知られるネドラ・ワインレイク氏、そしてHealth2.0カンファレンスの主催者であるマシュー・ホルト氏なども名を連ねている。

キャンペーン概要

ブログサイトは5月22日から、6月13日のフォーラムをはさみ、5週間にわたり参加メンバーによりポストされる。また、下記のようにウイークリー・テーマが設定されており、参加メンバーはテーマに即してポストすることになる。

・第一週: 準備の必要性
・第二週: リーダーとしての私の役割
・第三週: 仕事を成し遂げる
・リーダーシップ・フォーラム(6月13日)
・第四週: フォーラムの結果
・第五週: 成功させよう

一般の市民はコメントを書いたり、メールでエントリーを紹介・共有したり、SBMをつけたりしてブログに参加することが奨励されている。

すでにポストされたエントリーには、鳥インフルエンザ問題は「もし」という仮定形ではなく、それが「いつ」来るかと言う現実に迫り来る危機であると書かれている。本格的に流行すれば、行政、産業、教育、医療など社会機能のほとんどが麻痺するとも警告されている。おおげさではなく「国家の危機」という深刻なシナリオのもとに、いかに対策を準備すべきかが論じられているが、これらを読みながら「一体、日本での取り組み対策はどうなっているのか?」と思った。

社会キャンペーンにソーシャルメディアを活かす

今後、この鳥インフルエンザ・キャンペーンのように、ソーシャルメディアを使った社会的キャンペーンが増えてくると思われる。従来の社会的広報活動などは、単一の情報配信者や特定マスメディアが想定されており、話題喚起力や情報リーチや詳細情報提供力に限界があったと思われる。予算も高くつくものであった。それに対し、ブログ、Wiki、ポッドキャスティング、映像共有などのソーシャルメディアは、ユーザー参加性が高く多様な情報を低コストで社会に配信できる。

社会キャンペーンが社会に対して「命令」することではなく、広く「参加」を促すことであるなら、まさにソーシャルメディアの特性が今後一段と注目されていくのではないだろうか。特に医療分野においても、さまざまな活用方法があると思われる。また、日本における従来の医療・保健キャンペーンのありかたを、一度、根本的に見直してみる必要があると思われる。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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