昨日のエントリーで医療サイト基準と、それに基づく審査・認証の現状と問題点を考えてみました。特に日本の審査・認証団体の場合、基準コードやガイドラインの妥当性、審査や資格取得に伴う費用など、問題を抱えています。 Web上の医療関連サイトの情報掲出方法について、シンプルなガイドラインを開発し社会的な有用性を作り出すべきですが、これらの団体はむしろ恣意的で複雑な仕組みをつくり、無用なコストまで派生させてしまっているかに見えます。
Web2.0時代に対応する新しい医療サイト基準
昨年10月30日、米国のWeb2.0に呼応する先進的なWeb医療関係者達から、一つの斬新なマニフェスト(宣言)が発せられました。それは”HealthTrain: the Open Healthcare Manifesto” と題され、Web2.0時代に対応した新しいWeb医療分野のスタンダードを作り出そうという呼びかけでありました。
まず最初に”Health Train”というタイトルが付いていますが、これは正確には”Healthcare Cluetrain”のことであり、1999年に米国で発表されWebマーケティングのバイブルとも目され、デビッド・ワインバーグらによって書かれた“The Cluetrain Manifesto”(上図)へのオマージュがこめられているのです。この本は副題に”The end of business as usual”(これまでのビジネスの終焉)とあるように、Webの登場によって20世紀的なエスタブリッシュメント・ビジネスが崩壊した後、
“The Market as Conversation” (会話としての市場)
という新しい市場観の出現により、まったく新しいマーケティングが誕生することを高らかに宣言したものです。このマニフェストの精神を引き継ぎ、
”HealthTrain”では次のように今日のWeb医療分野について述べています。
健康メディアを普及させる手段としてのインターネットの性質は変化している。最初のオンライン技術の波は、諸団体にトップダウンやコマンド&コントロール方式のコミュニケーションを、新しいチャネルへ拡張することを可能にした。しかし今やオープンパブリッシング技術の新しい波は、専門的訓練を受けようが受けまいが、個人が全世界の受け手とコミュニケーションし、医療に関連する情報や意見を共有することを可能としている。
このコミュニケーションは、ブログ、ポッドキャスト、Wiki、掲示板、ビデオキャスト、コラボレーション、コミュニティそしてレビューサイトなど、他のソーシャルメディアやピアトゥーピアサービスと同じく、多数のフォーマットを通して起きている。この草の根メディアは、医療エスタブリッシュメント機関の許可や承認を得ようと得まいと関係なく、爆発的に成長を続けている。この「オープン・ヘルスケア」運動に多大な影響を与えた”Cluetrain Manifesto” が以前予言したように、医療は「新時代」へ入りつつあるのだ。
(続く)
三宅 啓 INITIATIVE INC.