寝正月的Health2.0

nenga2012

あけましておめでとうございます。

元旦、初詣から帰って発熱、腹痛、下痢。風邪。二日、三日と自宅蟄居、まさに寝正月状態。布団の中でスマホを見ながら、今年の行方をあれこれ考える。

やはりこの時期、「今年はこうなる!」みたいな予想ものエントリが多い。その中で「ビッグデータ・アナリティク・サービス」という言葉を目にした。これは、サイズは小さいもののdimensionsがめざしている方向だと思った。「ネット上の非構造化データをいかに構造化するか」という話だが、これもTOBYOプロジェクトが最初からめざしてきたことだ。今後、dimensionsが保有するデータを他の医療関連データと繋ぐことで、さらに多面的に医療を可視化するサービスが提供できるはずだ。

「データ中心型スタートアップ」というのが、今年出てきそうだとの話もある。音楽業界の“Next Big Sound”など、ソーシャルメディアからビッグデータをアグリゲートし、B2Bで特定業界に寄与するプロフェッショナルなデータサービス提供事業が出てきている。数年前まで、この分野はブログ・リサーチなど汎用データサービスがほとんどを占めていたが、これから業界特化型サービスが主役になるだろう。医療分野でそれをめざしているのがdimensionsだ。

さてHealth2.0関連を見ると、なんといってもこの正月のビッグニュースは、米国の代表的医師SNSであるSermoのファウンダー(ダニエル・ペールストラント)が”Sermo”を離れ、新たにスタートアップ事業“par80″を発表したことだ。これには驚いた。この”par80″は「医師と患者をダイレクトに結ぶサービス」になるとのことだが、詳細は不明。また今後、どうやらペールストラントは完全にSermoを去るわけでもなさそうだ。

サイトには、パレートとベンジャミン・フランクリンを引用した声明が公開されているが、今年は大統領選挙もあり、何か政治的な思惑が透けて見えるような気もする。ここ数年、ペールストラントはオバマ政権の医療政策とそれを支持するAMA(米国医師会)を鋭く批判し、それがもとでAMAと訣別することになった。今回発表された声明を読む限り、どうやらそれら「確執」の延長にこの”par80″構想があるようだ。

そんなこんなで、まだ不明なところがありすぎて、何ともこの新規事業を評価できないのだが、それでも「医師と患者をダイレクトにつなぐサービス」ということが本当なら、これは歓迎すべきだと思う。以前から、なぜ「医師は医師、患者は患者」というふうに別個にコミュニティをつくる必然性があるのかと、実は素朴な疑問を持っていたからである。

特に医師コミュニティは社会から隔絶するのではなく、たとえ困難であっても社会へ、地域へ、患者へと門戸を開き、専門知識や新しい知見の公開性と透明性、そしてオープンな対話性を確保する方向へ進化してもらいたい。特定の職能集団の閉鎖的なコミュニティでは、今日の社会的ニーズに合わないだろう。
“Health is SOCIAL” なのだから。

早い話、SermoとPatientsLikeMeが合体すれば、最強のウェブ医療サービスができ上がるだろう。そんな初夢を見た。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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