TOBYOの「宿題」

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TOBYOベータ版の肝が「TOBYO事典」(闘病記特化型検索機能)であることは、一昨日エントリで説明したとおり。これは、ウェブ上に既に蓄積されてある巨大な闘病体験集合から、必要な情報を簡単に探し出す仕組みを提供するものである。そしてこの「TOBYO事典」と一緒に、当初、実は「TOBYO資料集」なるものを作る構想があった。こっちの方は、たとえば医療費とか薬剤など個別テーマに関する断片情報を、たとえて言うとバインダーに綴じ込んでテーマごとに整理参照できるような、そんなアイデアだった。同じく「レファレンス」コーナーに設置される情報共有ツール「キャビネット」に集まる情報を、テーマごとにまとめるようなイメージでもあった。しかし、当面この「資料集」は先送りすることにした。現状でも「キャビネット」に集まる情報を、タグで絞り込んで特定テーマに関するものだけを表示することが可能だからだ。

この「資料集」のように、ベータ版リリース以降に回された「宿題」が、TOBYOにはいくつか存在する。ざっと思いつくものを書き出してみると次のようになる。

  1. 画像サムネール表示の充実
  2. RSSフィード機能の活用
  3. ブログパーツなどウィジェットの活用
  4. 闘病記以外のPGC(患者生成コンテンツ)のアグリゲート
  5. ソーシャルサーチ機能の開発

今のところ上記のような「宿題」があると考えている。まず、1の画像サムネールだが、TOBYOでは、収集済み闘病サイトすべての画像サムネールをキャプチャしている。しかし現時点では、これら画像サムネールのほんの一部を限られたコーナーで見せているに過ぎない。サムネールであるから、闘病サイトの情報を詳細に確認することはできないが、その闘病サイトのおおよその雰囲気を感じ取ることはできる。

闘病者の手でさまざまに工夫されたページデザインから、それぞれの闘病者の人柄や個性がなんとなく理解されるはずだ。このような文字以外の非言語系情報は非常に重要だと考えている。デザインやレイアウトの巧拙が問題なのではなく、そこからにじみ出てくる、闘病者のパースナリティを感じ取ることが重要なのだ。またユーザーにとっても、闘病サイトのページデザインは、そのサイトに共感するかしないかを分ける重要な判断材料になる。その闘病記作者が、自分と同じような感性やライフスタイルを持った人かどうかを知る基準にもなるはずだ。だから、サムネールのような視覚情報をもっと効果的に見てもらう方法を、現在考えているところだ。

次に上記2と3であるが、これは今後、ウェブ上の闘病サイトが全部ブログになることを想定した上での「宿題」である。言うまでもなく、もともとブログは、RSSによるコンテンツ・シンディケーションが可能である。RSSの一般的認知度や利用率はまだまだ低いが、TOBYOはこの活用に取り組まなければならないと考えている。同時に「TOBYOウィジェット」などを開発し、闘病サイトに様々な新規メリットを提供するとともに、TOBYOとのコミュニケーション連携を強化してもらうことも考えている。これらの機能を使い、最終的には闘病者側に、何らかの経済的メリットが還元されるような仕組みを作る可能性もあると見ている。

上記4だが、これからは「闘病記」だけではなく、ビデオやポッドキャストなどのPGCが増加してくるはずだ。これらもTOBYOにアグリゲートしなければならない。まだその量は多くはないが、すでにYouTubeでは闘病ビデオがかなりアップされており、iTunesでも医療オーディオコンテンツがポッドキャストされている。

最後に5であるが、実は米国のOrganizedWisdomの昨秋からのチャレンジに注目している。これは、かなり「Mahalo」あたりとも似たアプローチなのだが、闘病者が闘病記以外にも自己の体験をコンテンツ化する道を開いているように思えるのだ。そしてそのことが同時に、他のユーザーに一層有益な闘病情報を提供する方法にもなっている。またさらに、そこにインセンティブを設定することも可能だと見ている。

以上のように「宿題」の多いTOBYOだが、少しづつ解決する他ない。夢は大きいのだが、現実問題を一足飛びにスキップすることはできないのだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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