医療とWeb

samcook
昨年末から始めたこのブログも、今回で100回目のエントリーとなる。まずは、この拙いブログをこれまで読んでいただいた方々に感謝しなければならない。暗中模索、試行錯誤やっているうちに、徐々に何とはなしにスタイルが固まってきたような気もする。本来は、われわれの新規事業「TOBYO」を紹介することを目的に作られたこのブログだが、かなり広範囲の医療とWebの問題を扱うことになった。

結局、新規事業「TOBYO」だけの話しではなくなったのは、当方の医療とWebに対する考え方を、いろいろなトピックスを拾い上げながら、少しづつ明確にして行きたいとの思いが強くなったからか。「TOBYO」をリリースすることの背景に、どのような医療観があるかをいずれ説明しなければならないが、まず不定型な想念やイメージや言葉や関心事を、とりあえず「ブログ」という容器に順序脈絡を無視して、ランダムに投げ入れてみようと考えた。

何か、最初に体系立った立派な「医療観」があったわけでは全然ない。とにかく書き進む内に、もやもやしていたものが徐々に形を取り始めていく、そんな手応えを経験することができた。ソーシャルメディアとかUGMとか言われ、既にその理屈も実態も人口に膾炙しているが、結局、そんな情報を理屈で知って何かものが分かったように錯覚するのが一番良くない。誰もが言うが、やはりブログのことを知りたいなら、自分でやってみるしかない。

さて、われわれは医療の新しいサービス開発をめざしているベンチャー企業だが、この「医療」という領域を現状あるがままに見て受容するとすれば、新規事業開発の可能性をかなり限定的に、おまけにかなり低く見積もらねばならないかもしれない。とにかくこの業界の旧態墨守の閉鎖性、時代遅れの権威主義には辟易する。それに「市場」も「競争」もないのだから、どうやってイノベーションが起きるのか?。

ひょんなことで3ー4年前に、ある医療系NPO団体に関係していたことがあったが、その人達の会話は「なんとか大学のかんとか先生が、なんとか大病院のかんとか大先生が、どうしたこうした」というものに終始していた。要するにアカデミズム、著名医療者、中央官庁など「権威筋」の動向にしか、主要な関心はないようであった。民間NPOなのだから、医療界を第三者の眼で客観的に見ているのかと思ったらそうでもない。そのなかには「医療を変える」と言う人もあったが、どう見ても業界に内属しきって権威の信奉者に変身し、「ミイラ取りがミイラ」を地でいっているようにしか見えなかった。

しかし、医療の新しいサービス開発を目指した以上、現状を愚痴ってもしようがない。結局、われわれの展望は「医療の現状」を変えることによってしか開けないものかも知れない。ということであれば、従来の医療業界には存在しなかったような、新しい考え方、新しい発想、新しい技術を持って、あくまで「外部」から「医療アリーナ」にもの申すしかないのだろう。

新しい医療を新しい視点から、しかも「医療の外部」から考える。だが最近、ちょうどそんな時代が来ているのだと実感している。とりわけWebが果たす役割は非常に大きいと思う。かつて10年ほど前、インターネットが登場し日本でも「e-ヘルス」ということが言われた。だがそれらも医療にさしたる変化をもたらすことなく、また確たる成果を挙げることなくいつのまにかフェイドアウトしていった。
もう、評論家も権威の従僕もいらない。必要なのは、挑戦者と行動だけである。

医療、Web、TOBYOをめぐるさまざまな論考。これからもお届けします。
医療に変化を。WebとTOBYOで。

A Change Is Gonna Come.

サム・クックを聞きながら
三宅 啓  INITIATIVE INC.


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