今年のTOBYOプロジェクト

患者のコト、もっと知りたい。

ずいぶんブログを放置している間に、年が変わり、季節の歯車は回転し、気がつけば一年で最も寒い時期となった。昨年末は身辺にいろいろあったが、先日、母の49日法要を無事終え、ひとまづ一段落ついたような気がしている。ブログは停止していても、その間、TOBYOプロジェクトは進行していたわけだが、ブログのブランク開けに、まずそのあたりからご報告したい。

TOBYO収録の患者ブログは、現在、4万3千件、720万ページに達している。プロジェクトを立ち上げた頃には、想像もしていなかった規模になりつつあるが、闘病ユニバースは今後ますます拡大していくと思われる。ここ二三年、ソーシャルメディア、とりわけTwitterとFacebookに注目が集まったわけだが、一方ではブログの健闘が目立つ。特に闘病体験の記録となると、引き続きブログが一番多く利用されている。それはブログがデータをストックするメディアであるからではないか。対してTwitterやFacebookはフロー型のメディアであり、タイムライン上をニュースが文字通りフローして消失してしまう。記録メディアとしては使いにくいのだろう。

当初、ブログだけでなく患者が自分で作った個人サイトにも目配りしなければ、と考えていたが、気がついてみると闘病記録はすべてブログで書かれるようになった。また、WordpressなどがCMSとして使われることが増えるに連れ、今度はブログと一般サイトの区別というものが消滅しつつある。その影響で、昨年、Yahoo!やLivedoorのブログ検索サービスが相次いで姿を消した。「ブログ専門検索エンジン」が減っていく中で、TOBYO事典のようなバーティカル検索エンジンは貴重な存在となってきている。昨年、TOBYO事典に新しい検索エンジンを導入した。これによって検索スピードがかなり向上している。さらに年末に検索対象データを更新し、2010年末までに公開された390万ページを検索できる。

TOBYOは今後もデータ収録を継続していくが、そろそろ新規コンテンツを投入する時期にきていると考えている。現在、準備しているのは、患者クチコミによる医療評価コンテンツの「CHART」。患者が最も話題にしている病院、薬剤、治療法などをランキング形式で可視化する。まず、今春、「患者が話題にしている病院」チャートからリリースする。昨年このブログでも取り上げたが、「クチコミ病院評価」を標榜するサービスは多いのだが、その現状は「ネガティブ情報」を意図的に削除したり、データ量が少なかったりで、必ずしも患者・消費者が満足するサービスにはなっていない。これで「クチコミ病院検索」を標榜するとは、誇大広告以外の何者でもない。「じゃ、僕らがやろうじゃないか」というわけで、ネット上ブログに公開されている「正真正銘のクチコミ情報」をアグリゲートして提供する。「クチコミ病院検索」をめぐるシラケた状況に、一石を投じたい。

そして、これまで「患者リスニング・ツール」と呼んできた「dimensions」も新しくなる。三月から新コンテンツ「アナリシス」を加え、データ集、分析レポートなどをパブリッシュするメディア機能を持ったサービスに生まれ変わる。単なるツール機能に多様なサービスを付加し、コンセプトを再定義し、今後、「ネット上の患者生成データをワンストップ処理できるプラットフォーム」へと進化していく予定。昨年、テキストマイニング技術を磨いたわけだが、その成果をお届けしていくことになるだろう。乞うご期待。

「患者のコトは、患者にきけ」

720万ページの患者生成データから、患者が見た日本医療の姿をありのままに、多次元的に描出し、広く社会へお届けしたいと考えている。

三宅 啓   INITIATIVE INC.

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>