地震で考えたこと

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地震からすでに10日経った。未曾有の地震と津波は、形容する言葉もないほど圧倒的な自然の力をあらためて認識させた。また、いつ止むとも知れぬ原発事故は、人間の非力さと未熟さを、これでもかと見せつけるに十分だった。

連日繰り返されるマスコミ報道を目にしたが、そこに登場する「常連」達の発する言葉の空疎さと無力さを確認するのみだった。このような圧倒的な事件の前では、どのようなまっとうな言論も、すべてが「言論ゲーム」に見えてしまうのだ。だから、「すべての現実を論理的に語ることができる」と錯覚する饒舌ではなく、「本当は何も語り得ないのだ」と悟る沈黙の方が、まだしも良心的なのかも知れない。

その中で、「ほぼ日」糸井重里氏の「東日本大地震のこと」は、この状況下で言語化しにくいことを、それでもなんとか言葉にしてみようという良心的な行動だと思った。

巷間、「このような状況下で、私にできることは何かを考えている」というふうな言説があちこちに目につくが、自分にとって「できること」とは日常の仕事をしっかりやることであり、そのことはTOBYOプロジェクトをしっかりやることに他ならない。まず各人が、それぞれの場所で、それぞれの仕事をしっかりやることにつきるのではないか。

また今回の大災害で、ネットは十分に活用されただろうか。電力途絶という事態ではネットの力も活かせないが、それにしても政府なり自治体なりのネットの取り組みを見ていると不十分といわざるを得ない。医療もそうだが、ネット進化によって従来にない情報発信や情報共有の方法が出現しているのに、相変わらずの古いやり方を続けている。ネット進化が新しいサービスのスタイルを要求しているのに、それらを無視して古いスタイルを反芻している。そんなことを今回の地震でも感じた。

ところで被災地の闘病者たちは、闘病ブログで毎日の困難な状況を記録している。これらを読めば、このような大災害時における闘病の実態や患者ニーズを把握できるだろう。TOBYO図書室のタグ検索機能を使えば、「宮城、岩手、福島」など被災地名を特定して、それら被災地に住む闘病者のサイトを検索することができる。TOBYOでは性別、年齢別、サイト開設時別に収録サイトをフィルタリングするのみならず、各サイトごとに現住地、合併症、治療方法、医療機関、薬品名など関連情報をメタデータとしてタグ付けしている。これらタグを使って、簡単に特定条件に合う闘病サイトを探すことができる。まだ現住地情報は少ないが、これらの機能を利用して被災地闘病者の最新ドキュメントを読んでみて欲しい。
(参考例:宮城県在住者の闘病サイト・リスト

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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