明確になりつつあるHealth2.0ビジネスモデル

Health2.0企業のビジネスモデルの現状を考えると、今のところあまりバリエーションがあるわけではない。私たちのTOBYOプロジェクトもいろいろな可能性を検討してきたが、結果的にはウェブ上の闘病体験データを集約し、医療エキスパートへ提供するというモデルへ収斂しつつある。私たちはこれをDFCと呼んでいるのだが、手短に言えばいわゆるリサーチ事業に含まれるものだ。だがDFCは、当面あくまでリサーチツールという性格を持つから、知見や洞察そのものを提供するものではない。

昨日のエントリでも触れたが、PatientsLikeMeやSermoをはじめ表向きは患者や医療者のコミュニティでありながら、実際はそこで生み出されるデータをエキスパートに提供するようなモデルが、現時点でのHealth2.0ビジネスモデルの主流になりつつある。この他にもサービスやデータをマネタイズする方法はあるはずだが、今のところ明確にはなっていない。

Googleグループの遺伝子解析サービスである23andMeもまた、このようなリサーチ事業をコアとしたビジネスモデルを追求している。“Sage Commons Congress”におけるプレゼンスライドで、23andMeのリサーチ事業を概観することができる。
このプレゼンテーションのslide13に「Research 2.0」という言葉が出てくるが、遺伝子解析とリサーチをウェブ上で組み合わせることにより、新しい知見・診断・治療を生み出しマネタイズすることがこの23andMeがめざすビジネスモデルである。このリサーチ事業を運営するために、slide14にあるような調査インフラを23andMeは持っている。また「二年以内には、世界最大規模の遺伝子データベースの一つになる」(slide15)とのことである。新しい医学的知見をえるために取り組まれている具体事例としてパーキンソン病プロジェクトがあり、これは昨年から展開されている(slide18)。

新治療法研究や新薬開発の現場へ、ウェブ上で生産される大量のUser Generated Dataを供給し、新しい医学的知見や洞察づくりに貢献することが、どうやらHealth2.0の中心的なビジネスモデルになりつつあると、徐々にはっきりしてきたような気がする。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


明確になりつつあるHealth2.0ビジネスモデル” への1件のコメント

  1. ピンバック: Twitter Trackbacks for " » 明確になりつつあるHealth2.0ビジネスモデル" by TOBYO開発ブログ [tobyo.jp] on Topsy.com

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>