ここ一週間ばかりの間に、FacebookがGoogleを抜いて次世代ウェブの覇者になるのではないかとのニュースや論評(「Facebookはついに次世代ウェブの主導権を握ったのではないか?」TechCrunch )が立て続けに米国から届いた。現在Facebookは急拡大しており、すでに会員ユーザー数月間ユニークユーザー数は5億人に迫ろうという勢い。そして先週発表されたソーシャル・プラグインなどオープン化施策によって、Googleに代わりウェブ・インフラの地位を奪取する戦略が明確になってきた。たしかにFacebookは最大のソーシャルグラフ保有者であり、この点でGoogleに対し優位に立っている。
今回発表されたソーシャル・プラグインによって、外部のサードパーティーはFacebookのデータを使い簡単に新しいサービスを生み出すことができるようになる。たとえば、Facebook内の闘病体験データをアグリゲートし、病院や医師のレーティング・サービスが生まれる可能性がある。またFacebookが新たに導入したLikeボタンによって、ウェブ上の医療情報、医療サイト、さらにリアルの医療機関に至るまで、簡単にクチコミ評価情報を集めて提供することも可能になる。従来のハイパーリンクに基づく検索サービスよりも、より的確な情報をソーシャルグラフをベースとしたサービスは提供できるだろう。
日本におけるFacebookの存在感は薄いが、mixiやgreeなどSNS、そしてアメブロなどブログサービスが似たようなソーシャルグラフ戦略を打ち出してくる可能性はあるだろう。しかしFacebookほどの規模には達していないので、それらの影響は限定的であるだろう。だが、いずれにせよ一挙に次世代ウェブのビジョンが明確になりはじめており、ウェブ医療情報サービスもまたそれへの対応を迫られることになる。
もう「後戻り」はない。闘病記とか患者会とかを後ろ向きに振り返るのではなく、ウェブで個人をエンパワーするイノベーションを医療においても起こしていくしかない。ウェブは過去の古いパッケージを再現する手段ではないのだ。
三宅 啓 INITIATIVE INC.
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