競争優位の源泉

social_capital.jpg先月「ツイッターノミクス」(文藝春秋)が出てようやく日本でも注目されはじめたタラ・ハントだが、TechWaveに三橋ゆか里さんによる「インタビュー:「ツイッターノミクス」 著者、タラ・ハントさん -前編- 」が掲載されている。このインタビューを読んで「なるほど」と胸にすとんと落ちたように思ったのは、「リスクをとること」についてのタラ・ハントのメッセージだ。

「日本のベンチャーが出資が集まらなくて苦戦していると聞いたけれど、ビジネスを変える最適の方法は新しいアイディアをサポートすることだと思う。アメリカでスタートアップと携わる仕事をして学んだことは、そしてこれは「ツイッターノミクス」の中でも重要なポイント、そして私の哲学でもあるけれど、それは「リスクをとること。リスクを恐れないこと」よ。本能で感じる、自分が強く信じることなら、リスクをとることは自己実現の いちばん手っ取り早い方法だもの。」

なるほど、「リスクをとること」は「自己実現の手っ取り早い方法」であったのか。こんなふうに考 えたことはなかったけれど、そう言えばそんなもんだなぁ。

「私の出身地のカナダもリスクをとることを良しとしない文化があって、この点はヨーロッパや日本に近いところがあると思 う。子どもの頃から、安定した仕事に就きなさないね、大企業に入って高いお給料もらいなさいねって。もし自分でビジネスを立ち上げるなんて言ったら心配さ れちゃう。でもスタートアップをやるってことは、自分の直感や強い信念を持っているということだし、それはみんなに祝福され、支援されるべきだと思う。」

かつて2005-2006年頃だったか、タラ・ハントのブログに何か惹きつけられものを感じながら毎日エントリを読んでいたことがあった。その「何か惹きつけられるもの」をはっきりとは言い当てることが出来なかったが、このインタビューを読んでいる内に、今なんとなくわかったような気がした。

「日本はこれまで、本当に様々な分野で他国より先頭を走ってきたと思う。でも、もし仮にアメリカに競争優位性があるとすれ ば、それは「リスクをとることを恐れない」文化にあると思う。リスクをとることってアメリカ文化のコアな部分と言ってもいいくらいだもの。リスクをとることが前進することにつながるし、リスクをとる人が応援される文化。」

競争優位の源泉が「ものづくり」でも「集団行動」でも「技術革新」でもなく、「リスクへの態度」にあると気づくことができていれば、日本はもう少し違う道を選択して行けたのかも知れない。日本社会は、今日のこんな閉塞感に囚われずにすんだのかもしれない。だが、まだ遅くはない。きっと。三宅 啓  INITIATIVE INC.


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