連日、秋晴れの日が続く。お昼は新宿御苑の広々した芝生の上でお弁当を広げ、食後はごろんと寝っ転がる。見上げる青空を背景に、赤とんぼが低く飛びかう。もう午後はこのまま心地よい風に吹かれて過ごしたいところ。だが仕事に戻ろう。
闘病記1万件のバーティカル検索をめざして仕事を続けている。なんとか今月中には公開したい。これで一万人の闘病体験を隅々まで可視化できる。とにかく「実際に役立つものを作りたい」と考えてきた。病気を克服しようとしている人々が、実際に使って役立つもの。これを作るしかない。
「患者を啓蒙する」という従来の医療から、「患者が参加する」というこれからの医療へ。こんなふうに医療を動かすためには何が必要なのだろうか。もちろん制度改革をはじめとする一連の施策が必要だ。だが、それだけではない。従来にはなかった、患者のための新しい情報ツールが必要だ。それは、たとえば一方的に医療界という「伽藍」から降ってくる情報だけを伝えるのではなく、闘病ネットワーク圏という「バザール」で共有され交換される、お互いの知恵と体験と情報を効率的に活用するためのツールである。
一万人の闘病、一万人の体験、一万人の知恵と情報。この貴重な資産を共有するためのツールとしてTOBYOを使っていただきたい。どうか闘病者の情報武装のためのツールとして活用してもらいたい。
三宅 啓 INITIATIVE INC.