様々なる闘病記

このブログでは、これまで闘病サイトの現状やその傾向について何回か報告してきている。最近、あちこちウォッチングして感じるのは、まともな闘病サイトへ行きつくこと自体がだんだん困難になって来ているということである。ネット上にノイズが大量に発生しており、闘病サイトが見つけにくくなっているのだ。

その闘病サイトを取り巻くノイズだが、まず偽装闘病サイトあるいは「名ばかり闘病記」が増加している。「○○闘病記」などタイトルを見ただけでは、そのサイトが偽装サイトかどうかは判別しにくく、サイトへ行ってみて初めて偽装サイトであることが分かるケースが多い。こんな徒労を下手をすると何回も繰り返すことになり、貴重な時間を無駄に費消してしまう。これら偽装サイトは、闘病体験が一切記録されていない「名ばかりサイト」であったり、一見もっともらしい体験記に見えながらもあきらかに作話であったり、特定の健康食品や健康法へ誘導するものであったりする。特に「もっともらしい闘病体験」の体裁を偽装しているケースでは、ますますその偽装は巧妙を極め、かなり読み込んでみなければ判断がつかないものも多い。

また一方では、「ペットの闘病サイト」の増加という難問がある。「○○ちゃんの白血病闘病記」とあるので読んでみると、途中から「あれ?」と首を傾げる箇所がでてくる。「昨夜から○○ちゃんのお鼻は乾いたままで、舌をべろんと出して、ハァハァと息が荒いの・・・」、「シッポも垂れたままで元気がないの」との記述まで来て、やっと「なぁーんだ、犬の闘病記か」と気づくことになる。紛らわしいのである。作者のプロフィール欄をちらっと見るとネコに似た写真があるので「ネコみたいな顔の人だなぁ」と思っていたら、本当にネコが闘病記の「患者」(「患猫」というべきか・・・)だった。しかも、最近のペットブームは犬や猫だけではないから困る。うさぎ、ネズミ、いたち、おうむ、トカゲ、蛇、カエル、熱帯魚、昆虫・・・・。これらのペット達にも皆、必ず闘病記は存在するから驚くのである。この前など最後まで読んで、ようやくそれが「ドジョウの闘病記」であることがわかって、倒れてしまった。降参である。

獣医学などの技術が進歩したためだろうか、あるいはペット達の食生活はじめライフスタイルが人間化したためか、これらペット達も「人間並み」の疾患を病むケースが多い。これがまた混乱のタネなのだ。たとえば「エイズ闘病」は人間だけのものではない。今や「猫のエイズ闘病サイト」の方が多いくらいである。病名だけでは、はたしてそれが人間の闘病体験かペットのものか、判断がつかなくなっているのだ。がん、リウマチ、糖尿病、高血圧など、今や「ペット疾患の人間化」が闘病界では進行しているのである。「猫のメタボリック症候群」や「犬の痛風」などの闘病記が現れる日も近い。

世のペット愛好家に告ぐ。ペットの闘病サイトを作るのは自由だろうが、必ず「犬の○○ちゃん闘病記」、「イタチの○○くん闘病日記」など、それがペットの記録である旨をタイトルに明記してもらいたい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


様々なる闘病記” への1件のコメント

  1. 笑ってはいけないのでしょうが、笑いながら読みました。「ドジョウの闘病記」??柳川鍋も真っ青ですね。

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