アライアンス・ベースの患者SNS: CareFlash

careflash

9月のHealth2.0コンファレンス以降、新しい医療ウェブサービスが続々登場してきている。CareFlashは患者SNSとしてはさして目新しいものでもないのだが、強いて言えば「アライアンス・ベースのビジネスモデル」を追求しているところが新しいといえるかも知れない。

このSNSの目玉の一つとなっている「3Dアニメーションによる医療情報提供」も、実は医療3Dアニメーション制作会社であるBlausen Medical Communications社とのアライアンスによって実現したものである。CareFlashはこの他にがん支援団体などとアライアンスを結んでいる。またこれに関連して注目すべきは、Facebookとの相互乗り入れを実現しているところであり、これはFacebookのプラグインを通して実現している。

トップページに「Share-Support-Understand」とシンプルな機能表示があるのだが、しかし、このサイトのコアとなる提供ベネフィットとそれを実現する機能連携が、いまいち腑に落ちないのである。特に3DアニメーションとSNSの連携について、その必要性とメリットの合理的な納得感が薄いのだ。このあたりをどう改善していくかは、今後の課題になるのだろうか。

その他にもこのCareFlashについて疑問点は多い。だが、スタートアップ企業にとってアライアンス・ベースのモデルは、ある意味で余裕がないせいもあるのだろうが、今後チャレンジしていく価値のある手法かも知れない。特に「汎用SNS」とも言うべきFacebookと相互乗り入れしている点は、患者SNSのような「特化型SNS」が今後模索していくべき一つの方向性を指し示しているとも言える。

患者SNSの可能性を考えると、それは「単独で特化型SNSというカテゴリーが果たして存立しうるのか、それとも汎用SNS内部のテーマ・コミュニティが特化型ニーズを吸収してしまうのか」という問題に一般化できるような気がする。つまりこの場合、汎用型との競合に対し、どのようなディファレンシャル・アドバンテージを持つのかという問題を解決しなければならない。

このような観点でCareFlashを見るとすれば、汎用SNSからもユーザーを集めようという意図が読み取れる。この場合、CareFlashは独立した単独患者SNSでありながら、もう一方では汎用SNS「Facebook」の「出店」みたいな位置をもあわせもつことになるだろう。つまり「Facebook経済圏」にある程度依存し、その恩恵を享受しながら、患者SNSとしての自己のポジションを固めていくような、そんなイメージが見えてくるのである。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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