「人生のビデオ百科事典」を標榜するオンラインビデオ配信サービス“VideoJug”。医療コンテンツの質が高く、患者・生活者向けの医療教育ツールとして注目されている。
VideoJugは2006年9月に英国で、IT・ゲーム起業家ダン・トンプソン氏がハウツークリップサイトとして開始した。健康や趣味、グルメやファイナンスなどあらゆる分野の多数のビデオに拡大した。(詳細は“IT media news”記事を参照)
オンラインビデオ配信サービスと来れば、誰もがYouTubeを想起するだろうが、このVideoJugはYouTubeのような完全なUGM(User Generated Media)ではない。ユーザー制作ビデオよりも、各分野のエキスパートが出演しプロフェッショナルにパッケージ化されたオリジナルのビデオコンテンツをメインに位置づけているのだ。
その数約1万5千本で、この夏には10万本になるというから力が入っている。オリジナル・コンテンツが中心だから、情報の質と信頼性が確保できる。将来UGCを受け付ける場合も、その中身を厳しく審査し吟味する予定らしい。
「人生の百科事典」を標榜するだけあって、人生における最重要分野の一つである健康と医療分野はかなりの充実ぶりを見せている。試しに「がんの基本」ビデオを見てみよう。映像は鮮明で質は高い。またテキストで要約と進行状況が確認でき、コメントやSBMを付けることもできる。さらにiPodやMP3モードでダウンロード可能。
基本的にこのVideJugが提供するサービスは、下記の二つ。
- 専門家に質問する
- 「ハウ・ツー」を知る
「専門家に質問する」はあくまでも比喩で、ユーザーが質問するであろうトピックスを想定したビデオコンテンツを配信するのみであり、「ユーザー&専門家」の直接コミュニケーションが提供されるわけではない。
たしかにVideoJugの医療ビデオは素晴らしいが、パッケージ・コンテンツ主体というコンテンツ編成から見て、VideoJugはむしろ1.0的なサービスに見える。大規模資金調達をしたとはいえ、今後、コンテンツ制作コストの重圧がのしかかってくるのではないか。どのようなビジネスモデルを作っていくのか注目したい。
三宅 啓 INITIATIVE INC.