WHO、ICD(国際疾病分類)をソーシャルメディア方式で改訂

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WHO(世界保健機構)はICD(国際疾病分類)の改訂作業を、今後、世界中から広く参加者を募り、誰もが提案し議論できるWeb2.0のソーシャルメディアのようなスタイルに改めることを決定した。

Wikipediaがヒント

もしWikipediaのような編集スタイルが百科辞典編集でワークするなら、同じように、人類を苦しめる病気やけがを分類する作業にもワークするのではないか?。WHO(世界保健機構)は「ワークできる」と考えた。そしてICD(国際疾病分類)コード・システムの次期改訂(ICD-11)に新しい方式を導入しようとしている。

ICDの以前のバージョンでは、その改訂作業は厳選されたエキスパートだけが取り組む分野であったが、今後WHOは、改訂作業に参加することを望む誰にでも改訂プロセスを公開することになる。

Wisdom of Crowds

「ICDを考えると、今まで非常に少数の集団によって大部分がコントロールされてきた」とカナダのブリティッシュ・コロンビア大学バイオメディカル分館長ディーン・ギュスチーヌ氏は言う。

「改訂は医療の変化に対して、いつも常に素早く対応してきたわけではない。そこで、何らかの技術を使い、草の根の人々にも修正に参加してもらい、これまでよりも早く変化に対応するためのより良い方法は何だろうかと考えたわけだ。」ギュスチーヌ氏はカナダで新たに開始されたオンライン・オープンアクセス医療雑誌「オープン・メディシン」の共同編集者である。彼はまた、Wikipediaに具現化されるインターネット民主化の動きとしてのWeb2.0ムーブメントの支持者でもある。

これから予定されるICDー11の改訂作業プロセスは、作業参加を登録申請し、提案には医学文献からのエビデンスを付し、そして改訂案のオンライン・ディベートに参加する意志を持つ希望者全員に開かれることになる。

「これまで問題は、たとえeメールを使っても、会議のためには一カ所に集まらなければならないということだった。そうなると常時参加できるメンバーは限られてくる。そこで本当にまったく新しいやり方が必要だった。このオンライン方式を使って、ほとんど誰にもインプットを提供するチャンスがあるのだ」とWHO幹部でICD担当のロバート・ヤコブ博士は言う。

だがこのICD改訂に採用されるソーシャルメディア方式は、純然たるWikiそのものではない。まだサイトがオープンしていないので何とも言えないが、関係者の話を総合すると、むしろブログに近いようだ。

ICD-11改訂サイトは2008年暮れにアルファ版がオープンする予定。さらにベータ版でフィールドテストを重ねた上、サイト正式オープンは2010年か11年になる模様。サイトは、まず国連共通語とされる英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語に対応するようだ。その後、日本語その他の言語も予定されている。

付記:病名表記統一とWeb医療情報サービス

ICD-10は、TOBYOの病名分類システムの基本に利用させてもらっている。ただ、日本の状況にピタッとフィットしていない部分もあるので、これをローカライズド・アレンジした厚労省のフレームも参考にしている。

これまでの日本のWeb医療情報提供サービスでは、病名定義がかなりあいまいであったように思う。これではユーザーに混乱を与えかねない。ICDに沿ったWeb上での病名表記基準の統一なども、今後、課題になってくると考えているが、基本はユーザーにいかにわかりやすくするかである。このあたり、課題は多い。当面、ICD-11の上記動向を注目していきたい。

Source: CBC NEWS, May 2.2007


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