新しいWeb医療サービスへ

YOU

先日、米国TIME誌恒例の「Person of the year 2006」(2006年の人)で、You(あなた)が選出されたと話題になりました。このYouとは、ブログ、Wiki、SNS、写真共有サイトやビデオ共有サイトなどを使って、Web上に様々な形で参加し、様々に自分の考えや作品を発表した人々のことを指しています。著名TIME誌な政治家や文化人をおさえて、市井の人々であるYouが選ばれ、しかも「Webに参加するYou」であるという説明を読みながら、何か、世の中が大きく変わっていくことを象徴する出来事だな、との印象を持ちました。

このTIME誌の「You」に触発され、米国ブロゴスフィア(ブログ界)では、「ネット・デモクラシーの勝利」、「1960年代以来の革命期」などという昂揚した言葉があふれました。 Webの変化というものは、パーペチュアル・ベータ(永遠のベータ版)と言われるように、日々、少しづつ起き、進んでいくものです。その意味では、私たちが今生きているこの時代が、本当は大きな変革の時代であることが、例えば60年代などに比べると、あるいは見えにくくなっているのかも知れません。

Web進化と医療

Webの進化は直接的には技術の進化です。しかし、その結果もたらされるものは、政治、社会、産業、文化から人の生き方まで、相当広範囲に渡ることになるでしょう。もちろん医療の分野にも、その影響は及び始めてきています。10年ほど前、Webが登場した頃、やはりこれを医療の分野で活用しようとする動きがありました。しかし、今日の状況は、当時とは大きく変わりました。新しい時代の、新しいWeb医療サービスを構想する時期が来たと言えるでしょう。

残念ながら、この分野でも日本は欧米の後塵を拝している状態です。しかし、ここ1-2年、多数出現した「2.0系」と総称される新しいWebサービスですが、どうも医療分野は後発分野のようで、まだまだその数は少ないのが現状です。簡単にスタートアップ企業が挑戦できる分野ではないというイメージや、一般的に「参入ハードルが高い」というイメージが、どうやら医療分野にはあるようです。それは日本でも海外でも同じで、これらイメージが一体何に起因しているのか。実は、この辺りの問題を検討することも、新しいWeb医療サービスを構想する上で、非常に大切なポイントだと考えています。

いずれにせよ、Web2.0と総称されるWebの新展開によって、「自己表現、参加、情報共有」など生活者、ユーザーのパワーが強化されてきています。新しいWeb医療サービスも、これらの動向をどのように取り込んでいくかという発想が必要なのは当然です。そして更に、その上に、「従来の医療に何を付け加えられるのか。どう変えていくのか。」というビジョンが求められているのです。「YOUの時代」において、「新しい医療をどう構想するか」を生活者が議論していく時が来ました。

三宅 啓   INITIATIVE INC.


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