2008年を迎えて

2008_s

今年はいよいよ「TOBYO」(トービョー)が起動する年。予定では1月にアルファ版、3月にベータ版を公開することになる。当初計画よりも1年遅れとなったが、ようやく具体項目をタスクリスト化して一つ一つこなしていく段階に来た。われわれにとって2008年は、まずTOBYOを軌道に乗せる年である。

TOBYOは患者体験を通して医療を可視化するツールである。医療は、その品質や価格など患者が最も知りたいことが不透明であった。医療を変えるためには、全方位から医療を透明化し可視化していく必要があるだろう。TOBYOは闘病者が実際に体験した事実によって、医療を闘病者視点で可視化する。

かつて一昔前に「インターネット医療」とか「eヘルス」などと言っていた時代とは違い、今日のウェブはマスメディアの単なる代替物ではない。「権威筋」から提供される情報を、ワンウェイで与えられ消費するような時代ではない。闘病者はコマンド&コントロールの対象では最早なく、自らのリテラシー武装によってウェブ上の医療情報を最大限活用し、さらに自らの貴重な体験さえ既に語りはじめている。無論、すべてがこのような自立したパワフルな闘病者ではないが、ウェブはこのような闘病者を支援し後押しする強力な医療情報プラットフォームになりつつあるのだ。

新しいウェブには、そして高度な医療リテラシーを志向する闘病者には、新しい情報ツールが必要だ。新しいサービスが必要だ。次のように時代は変わっているのだから。

  • ウェブ上をのし歩く恐竜のような「巨大ポータル」の時代は終わった。
  • 医療情報品質を「サイト」という単位で、「情報コンテナの信頼性」で担保できる時代は終わった。
  • 「医療情報の質」などとお説教する時代は終わった。闘病者リテラシーの高度化を目指す時代が訪れている

つまりウェブ医療情報サービスは今や一つの「前史」を閉じ、明らかに次の時代へ進もうとしているのだ。今なお残る「前史」発想に刻印された残滓から抜け出し乗り越え、新しいユーザーニーズを焦点化し、闘病者リテラシーを高める次世代サービスが必要になっているのだ。このような文脈でHealth2.0は出現したと言えるだろう。もちろんわれわれがTOBYO開発に取り組んでいるのも、以上のような時代認識に基づいている。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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