医療者向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は米国でどんどん増えていきてる。その中でもトップブランドの”Sermo”が、先日米国医師会と提携を結んだことは、新興SNSとエスタブリッシュメント組織のコラボレーションとして話題を呼んだ。
以前のエントリーで”Sermo”をはじめ主だったSNSを紹介したが、そのほか下記にリストアップしておく。
“RelaxDoc”はボルチモア在住59歳のがん専門医が作ったSNS。製薬会社ほか企業が参加したりモニターすることのないようにしているとのこと。だが、テスト段階で医師ユーザーの反応をチェックしていると、医師グループは特に金融と旅行に興味を示すことがわかったそうで、これらのニーズに対応すべくサービスメニューを工夫しているようだ。
ところでDoctorsHangout.comであるが、これは実はSNSやUGCのホスティング・プラットフォームであるKickApps を使って作られている。最近このように、一から自前でSNSシステムを構築するのではなく、ホスティング・サービスを利用して医療者向けSNSを立ち上げる例が増えてきているのが注目される。
SNSのホスティング・サービスといえば、まず”Ning” である。
“Ning”は一昨年の秋からベータ版をリリースしたが、当時、「APIマッシュアップ」の代表格として語られたサービスだったように記憶している。それゆえ、最初は何を狙っているのかわかりにくかった。しかし、だんだん利用イメージがハッキリしてきて、最近では「SNSホスティング・サービス」ということが瞭然。実に良くできたホスティング・プラットフォームで、誰でも手軽に思い通りの自分のSNSを構築することが出来る。
医療関連での”NIng”を利用したSNSサイトは次のようなものがある。
NEJM Medical Images Collaborative
Nursespace
このようにメンバーオンリーで一般非公開のサイトが多いが、限られた少人数のグループや団体でSNSを作って情報共有する場合など、”Ning”を使えば簡単にすぐ作ることができる。これもWeb2.0の恩恵と言えるが、医療関連分野でもこのような2.0ツールを今後どんどん活用していくことになるのではないだろうか。難しく考えずに、ウェブで「会話」を皆で始めればよい。
今日、とりわけweb2.0以降、ウェブでさまざまに情報配信し共有する技術的、コスト的バリアーは極端に低下している。誰のお墨付きも許可も必要なく、誰もが思い思いのアイデアで、自由に医療情報を共有することが出来る時代になったのだ。そのことをとりあえずHealth2.0と言っておこう。
新しい医療情報サービスは、医療機関や企業や団体などのエスタブリッシュメント組織だけが作るものではない。誰もが自分のアイデアで、どんどん新しいものを作り出せばよい。妙な「情報掲出倫理規準」など、役人でもないのに「規制」を勝手に作って、これらの新しい可能性を阻もうとする人たちもいるかも知れないが、歴史の歩みをもう誰も阻止することは出来ないのだ。
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三宅 啓 INITIATIVE INC.