米国の医療関連調査会社であるマンハッタンリサーチ社の調査レポートで、米国消費者の990万人が定期的に健康関連記事をブログに投稿しており、これら健康関連ブログ記事の読者は890万人存在するとの結果が発表されました。(Cybercitizen® Health v6)。
また毎日、175,000件の健康関連記事がブログに投稿されているそうです。昨年末ワシントンDCで開催された「ヘスケア・ブロギング・サミット」でも、健康関連ブログはまだ初期段階にあると報告されており、今後の展開が注目されます。
ところでこの調査レポートで言われている「健康関連ブログ」(health-related blogs)という言葉ですが、これが闘病記のことなのかどうかははっきりしません。また闘病記の海外での実態についてはまだ不明点も多く、今後、調査していかなければならない課題です。マンハッタンリサーチも「健康関連ブログ」を取り上げたのは今回が初めてだそうです。
しかし、もし仮に「健康関連ブログ」全部が闘病記であるとすれば、毎日175,000件、毎月525万件、毎年約6,300万件の闘病記の記事がWebに書かれているわけで、これには圧倒されます。日本ではこのような調査はまだ実施されていませんが、昨年から継続してWeb闘病記をウォッチしてきた目から見て、日を追ってWeb闘病記の件数は増加しているとの印象を強くしています。
Web2.0と総称されるWeb進化によって、私達は毎日ブログを読んで考え、ソーシャルブックマークやタグでマークし、自分の考えをブログに書き出し、その記事に付いたコメントやTBを読みコミュニケーションする・・・・・・。という新しいスタイルへと自分の知的活動スタイルを変えてきました。これは手短に言うと「Webを読み、考え、Webに書く」という一連の動作です。つまり、個人という枠に自己完結的に閉ざされた活動でなく、常に他者に触発されながら、外部に開かれたWebへ向かって「読み、書き、考える」ことへと、自分達の知的活動を解き放ったといえるかもしれません。
そのように考えると、Web闘病記もまた、闘病者の貴重な体験ドキュメントでありながら、Webに働きかけることによって、他者とともに自分の病気を学び、資料を作り、記録し、コミュニケーションするという、非常にアクティブな知的活動だと思えるのです。
三宅 啓 INITIATIVE INC.