今年1年を振り返って

今年も今日が大晦日。振り返ると今年はまったくブログを更新できず、なんとこれが初エントリとなってしまった。

来年、10周年を迎えるTOBYO

ブログ更新はサボってしまったのだが、実は私達にとって、2017年は新規プロジェクトが本格的に立ち上がった重要な年であった。来年2018年に、いよいよTOBYOは10周年を迎える。この10年間に、TOBYOは国内で最大の闘病体験データベースに成長した。そしてお陰さまでここ数年は患者ブログ調査プラットフォーム「d2」の充実により、徐々に各方面からの評価をいただいてきている。ようやくネット上に放たれた膨大な量の「患者の声」を医療業界に届け、有効に利用できる環境が整いつつあると言えるだろう。

この10年にわたる私達の経路をあらためて総括してみると、もちろん多少の紆余曲折はあったものの、当初から事業開発の方向感覚はほとんど変わってきていないと思う。途中、いろんな新規SNSの登場、「クラウド、ビッグデータetc」をはじめとするバズワードの変遷、AIや自然言語処理の進化などがこの10年に起きたわけだが、時としてそれらに惑わされることも正直言って少なからずあったが、患者の言葉を集め、それらを解析する方法を磨くという基本動作を愚直にして地味に継続してきたのが、私達のTOBYOプロジェクトであった。

そうでありながら、やはりプロジェクトにとって節目となるポイントがいくつかあった。今年から本格起動した新規プロジェクトは、これまでの節目ポイントの中で最も重要なものであると考えている。実はこの新規プロジェクトの起点となるアイデアは、すでに数年前に生まれていた。しかし、それを実現する方法と技術がはっきりせず、そのまま時にまかせて温めてきたものである。そして近年のAIや自然言語処理技術の著しい進化によって、いつのまにかこのアイデアの実現を可能にさせる諸条件が整えられていることに、遅まきながら気づいたわけなのだ。

物語からファクトへ

Webに放たれた膨大な患者の言葉を解析するためには、これらテキストデータを読解し物語に耽溺するのではなく、ファクト(事実)を抽出・特定し、さらにテキストを数量化することが必要だと、私たちは当初から考えてきた。そのことを「物語(Narrative)から事実(Fact)へ」という言葉を使って説明してきた。

そしてテキストの数量化によって、医療ファクトに対する患者の評価や感情を指標化することが可能となるだろう。つまり患者の言葉による医療評価が可能となり、検査、治療、薬剤、医療者などを、文字通りの「患者視点」で比較することが可能になる。だが現時点ではまだ開発段階であり、諸事情もあり公開できないので、申し訳ないが以上のような表現に留めておきたい。

この一年間、新規開発プロジェクト起動の仕事に取り組んできて、ブログを更新するのががつい後回しになってしまった。来年は新規プロジェクトの成果も含め、TOBYOプロジェクトで得た知見をもう少しブログでお伝えしたいと考えている。

三宅 啓  INITIATIVE INC.