闘病ドキュメント解析へのチャレンジは続く

動詞系語でハーセプチン関連語をマッピング

いよいよ炎暑が来たかと思うと、涼しい日が続いたり、はたまた「戻り梅雨」だそうで、東北など滂沱たる強雨に襲われたり。今年の夏は、はっきりしないが、当方、毎日スイカを食べて元気に過ごしている。それでも最近、87歳になる母が、日を追って精神的身体的に弱ってきているのが気になる。老化は如何ともしがたいのだが、介護のことをこれまで以上に思案し始めている。当方のワークスタイルを含めて、これからどう働き、どう過ごしていくかを考える時期に来ているようだ。果たして「親を介護しながらベンチャー」みたいなことが、うまくできるものだろうか。

結局、闘病であれ介護であれ、家族が本人を支えていくことが基本になるのだろうが、その実態はどうなのか。患者視点による医療アウトカムの公開をめざす「Perspective」では、赤裸々にこれらの実態を記録した闘病ドキュメントの分析によって、闘病や介護における関係者の役割を可視化しようと考えている。

今回、dimensionsのデータベースから、乳がんの分子標的剤「ハーセプチン」が記載されたドキュメントデータだけを抜き出し、その服用実態分析をおこなってみた。これは患者1045人による、8968ページ、語数998万ワードからなるデータである。これをテキストマイニングして、「プロダクト・マップ、コミュニケーション・マップ、ディシジョン・マップ、サティスファクション・マップ」などアウトカム・マップを出力する予定だ。なかでもコミュニケーション・マップとディシジョン・マップは、患者が医療者や家族など関係者とどのようなコミュニケーションをしているか、あるいはどのような医療意思決定をしているかを可視化するものだけに、重要なポイントだと考えている。 続きを読む

闘病ドキュメントはアウトカムデータである

石神井公園、夏

石神井公園、夏

今朝、新宿御苑の蝉が鳴いた。今年はじめて聞く蝉だ。いきなり切って捨てるように梅雨が終わり、また夏がめぐってきた。季節の変り目のせいもあるのか、ここ数日、痛風で自宅蟄居。やっと回復して見上げる夏空が眩しい。

先月から、PRO(Patient-Reported Outcomes)のことを引き続き思案してきた。調べてみると、すでに2001年ごろから、このPROという言葉は米国で使われていたようだ。不覚にも、この間ずっと患者体験ドキュメントについてこのブログで検討しながら、当方、今日までこんな言葉があるとは思いもつかなかったのである。自分の狭量ぶりというものを、思い知らされた次第である。

だが、「アウトカム」という言葉には、何か懐かしい響きが聞き取れる。医療を事業テーマに決めた時分、まず医療評価の基礎から勉強をはじめたのだが、最初に注意を惹いた言葉がこの「アウトカム」だった。無論、「ストラクチャー、プロセス、アウトカム」というドナベディアン・モデルから教えられたのだが、すでにJCAHOやHCAHPSが稼働し、社会にアウトカム・データを公開していた米国とは違い、日本ではようやく医療機能評価機構による「ストラクチャー、プロセス」評価が開始されたばかりあった。それでもアウトカムは、最も患者が求める情報でありながら、日本では公開される気配はまるでなかった。だから自然、「医療アウトカムをどのように評価し、どのように公開するか」ということが、初期の私たちの大きな関心事であり事業テーマになったのだ。 続きを読む