夏のライオン

Mac_Lion

昔、「冬のライオン」という映画があったが、先週、夏のライオンが「こんにちは!」とやってきた。Mac OSⅩのニューバージョン「Lion」である。実はこの2月からMacBook Airを使い始めた。OSのバージョンは「Snow Leopard」で、壁紙の雪片を頭に載せた雪豹が、どことなく愛嬌があって気に入っていた。

そして、とにかくMacBook Airというマシンが良く出来ているのだ。その薄さとシンプルなデザインは感動ものでさえある。久しぶりに、使うのがワクワクするようなマシンに出会ったと思った。プレゼン用に買い求めたのだが、Keynoteが良い。もうPowerPointには飽き飽きしていたが、いざKeynoteを使ってみると、思い通りのページが簡単に作れることがわかった。とにかくシンプルで使いやすい。その昔、ワード、エクセル、パワポを使うためにWindowsマシンを使っていた時期があったが、考えてみると、ワードもエクセルもまったく使わなくなった。Googleドキュメントで十分だ。パワポだけが残ったが、これもKeynoteにリプレースしてしまいたい。つまり、もうWindowsを使う必要が全くなくなってしまったのだ。今後は全面的にMacへ移行することになるだろう。 続きを読む

患者調査のイノベーション

Patient_Pharma_flow

dimensionsの要約パンフレットを作成した。そのヘッドライン・コピーは

「患者3万人の生の声をダイレクトに聴く—–患者調査のイノベーション」

とした。上図のように、これまでの患者情報収集活動は「伝言ゲーム」に似ており、どこかで患者の声が変えられて伝わってしまう可能性があった。これに対しdimensionsは、ネット上に公開された患者の生の声を、そのまま変えることなく伝える。

もちろん膨大な量の患者ドキュメントを読み込むのは大変だから、重要と思われる固有名詞・名詞群をキイワードとしてリストを作成し、医薬品、医療機関、治療法、検査・機器の4ジャンルに切り出し、また各種条件でデータを細かくフィルタリングするなど、効率の良いデータ処理をはかっている。

新たに「患者体験傾聴システム」という呼称を使うことにしたが、これまでの患者調査と大きく違うところはなんだろうか。それは一口に言って「継続性と汎用性」ということではないかと、最近考え始めている。ある特定の問題解決のために設計・実施される従来調査とは違い、dimensionsは「継続的に、患者の声を通して獲得される、患者との接触体験」を提供するサービスなのである。 続きを読む

アラカン・ベンチャー

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明日は誕生日。今夜は前夜祭。うーむ。しかし歳を食ったものだ。「アラカン最後の誕生日」と来たもんだ。これでベンチャーをやっているんだから、感謝。これまで、「エッ!あなたが三宅さん?!」と言われたこともしばしば。「本当にあなたが、あのTOBYO開発ブログを書いている人なんですか?」と何回言われたか・・・・(笑)。よっぽど若いヤツが書いているように見えるらしい。

2008年2月にアルファ版をローンチしたTOBYOだが、収録闘病サイト3万件まであとわずか。そして、一昨年暮れから開発を進めてきたdimensionsがやっと完成した。当方の誕生日とあわせ、幸いにもいろんなことが良いタイミングでそろった。

そしてこれまで「闘病体験傾聴ツール」と言ってきたdimensionsだが、これからは「患者体験傾聴システム」との表現にしたい。もうすでにディスティラーとX-サーチという二つのツールがあるわけだが、今後、これらのツールは増やしていく。「患者体験傾聴ツールの集合体」という意味で「システム」という言葉を使おうと考えている。

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dimensionsの基本フレーム

Drug

dimensionsはサービスイン。先週から本サーバで稼働をはじめた。当面、ここ一ヶ月〜二ヶ月程は「お試し期間」として顧客ユーザーに使ってもらう予定。同時にデータ取得、集計、更新など、主としてデータまわりのオペレーションを徐々に円滑運用の軌道に乗せていくことになる。プロジェクト企画段階ではデータ更新を一ヶ月ごととしていたが、いろいろ勘案した結果、ウィークリー更新をめざす。最終的にはデイリー更新を実現したい。

いずれにせよ当初想定していたよりも、はるかに強力なマシンパワーが必要になってきている。検索エンジンだけならまだしも、数百万ページのデータから数千語のキーワードを抽出カウントしたうえで出現場所を特定するために、集計時間が予想以上にかかることもわかった。だがこれらの経験は、次ステップでのマイニング・ツールなどの導入にきっと活かされるものと考えている。

そもそもdimensionsは、その基本フレームとして「患者体験ドキュメントのデータ構造」というものを考えるところからスタートしている。われわれは患者体験を主観的な物語としてではなく、まず時間軸上に配列された事実の連続体として見ることを考えた。その「事実」とはまさに患者が体験した医療事実なのだが、それらはさらに「こと、もの、評価」という三要素に分解できると思いついた。「こと」は検査、診断、入院、手術、など一連の医療過程を構成するイベント、あるいは時間軸を区切り特定の段階を表示するプロセス・インディケーターであり、普通名詞そして固有名詞で表される。「もの」は医療に実際に投入される薬剤、機器、治療法、さらに医療が行われる場である医療機関などであり、それらも固有名詞や名詞に分解できる。 続きを読む

dimensions vs First Life Research

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dimesionsは国内では初にして唯一の闘病体験傾聴ツールであるが、海外に目を向けるとライバルが存在する。イスラエルの“First Life Research”(以後、FLRと略す)である。私たちがこのFLRの存在を知ったのは、昨年秋のHealth2.0_SF2010カンファレンスにおいてであった。

カンファレンス冒頭、主催者側の”Welcome and Introduction to Health 2.0″セッションにおいて、インドゥー・スバイヤ氏はUGCソースの新しいリサーチに言及し、「二つの企業が今日デビューする。一つは日本から、一つはイスラエルから」と紹介した。これは当方のTOBYO-dimensionsとFLRのことを指していたのである。(「Health2.0 SF 2010の冒頭イントロで紹介されたTOBYO」

あれからもう9ヶ月が経ち、dimensionsはようやく今月サービスインした。ではFLRはどうなったのだろうかと、久しぶりにFLRサイトを訪問してみれば、トップページは以前とはだいぶ趣がちがい、なにやら検索エンジンのようなスタイルになっていた。だが「7億8439万ポスト、1873万人の執筆者、1万件の薬品・・・・」と収録データは大幅に増えている。

ちなみに検索窓に「Breast Cancer」とタイプ・インしてみると、フツウの検索エンジンの検索結果とは違い、「一般情報、薬品比較、薬品スイッチ」と三つのジャンルをタブで選択できるようになっている。dimensionsでは「医薬品、医療機関、治療法、検査・機器」の四ジャンルがディスティラー画面で表示されるのだが、FLRはあくまでも医薬品に焦点を絞ってデータを提示しようとしているようだ。

そして特に「薬品比較、薬品スイッチング」の見せ方は興味深い。「薬品比較」では乳がん関連の各薬品とその副作用が表で比較できるようになっている。「薬品スイッチング」では、乳がん関連薬品スイッチ事例が多いものからグラフ表示され、さらに詳しく、ある薬品が「どの薬品からスイッチされて、どの薬品へスイッチされたか」という、一種のスイッチング・フローとして表示されている。これはわかりやすいし、おもしろい。しかし、サンプル数が少ないのが気になる。 続きを読む